勝敗もどういう展開になるのかは舞台が始まるまえからわかっているにも関わらず、何故か手に汗にぎってしまう。沢村栄純役の小澤廉始め、青道メンバーはこなれた感じで安定感がある。薬師高校のメンバーは初参加らしいパッションに溢れていた。1幕の前半に登場した市大三のメンバーは、ずっと客席通路にいるのだが、負けても球場から離れられない。早々に舞台から姿を消すか、あるいはたまに出てくるかが通常の演出パターンであるのに、ずっと客席通路に居続けさせることによって、心底野球に魅せられているのだということを観客に伝える。演出側の登場キャラクターや作品、野球そのものに惚れ込んでいるのがよくわかる。
ラスト近く、うつむいて悔し涙を流す轟の顔がスクリーンいっぱいに映し出される。その映像に“涙”がポツポツと落ち、さらなる悔しさをにじませる。敗者への限りない愛とエール、『ダイヤのA』の舞台版の真骨頂がここにある。
2025年2月をもって、建て替…