――今回やる中島役について、原作を読んで、初演の練習を見て、どのように捉えて、どんな風に役を組み立てていこうとか考えていますか?
納谷:そうですね、割と序盤はツッコミ・キャラなのかな、説明役のところもあるのかなと思っていたら、中島自身がボケだすところもあるので……なんて言うんですか、ボケとツッコミの両刀じゃないですけど、すごい“おいしい”キャラですね。切り替えが難しいのはもちろんですけど、すごいシッカリした“軸”を持たないといけないキャラだな、というのはありますね。
とにかく、お客さんに楽しんでいただかないといけないので、まず「自分たちが楽しいと思うことは何か」プラス「それがどう伝えられるか」を考えています。一番奥のお客さん、一番端のお客さんにも笑っていただきたいなって思うので。そこのブラッシュアップっていうか、役作りも大切ですけど、どう伝えるかをメインでやりたいなって思っています。
――今回、再演で新しくキャストとして入るじゃないですか、今までメインのキャストの方は、前回があって今回でということで、そこに溶け込んでいくにあたって気にしてることとかありますか?
納谷:そう……ですねー、やっぱり不安に思う部分とか、置いて行かれないだろうかとか、再演なのでセリフも多少前回と同じところとかあるから、最初に足を引っ張んないようにしなきゃとかあるんですけど、今回は脚本がガラッと変わるとか、キャストの変更があったりというのもあるので、それほど気にはしていません。
ただ、再演ってなったら、やっぱり見に行きづらい方もいるんじゃないかなと心配はあります。でも、いろいろ変わっているので、再演だけどお客さんに「脚本とかキャストとかが前回と違うんだったら、再演やけどもう一度見に行けるかな」とか思っていただけたらなとも考えています。
――前回、上演終了後に「『磯部磯兵衛物語』が楽しかった!」っていう話を聞いて、「見に行きたかったよ~!」って話が結構あったんですよ。それを受けての再演だと思うので、かなりお客さんの期待も高いと思うんですよね。それから、全部終わってからのカーテンコールで、出演者が『筋肉ええじゃないか』を踊って、撮影もOKだったりとかもあって、行った人たちが「楽しかった」「楽しかった」ってあっちこっちで、自分のブログで書いてみたりとか、ツイッターで話してたりだとかしていて、かなり期待が高まっている。
それに、今回、納谷さんが入ることに対しても期待が高まってると思うんですけど、そのへんどうでしょう? 納谷さん的にはプレッシャーになる部分もあるだろうし、「よっしゃやったるぞ!」というところもあると思うんですけど。
納谷:もちろんプレッシャーも「やったるぞ!」っていうのも両方ありますけど、どっちかっていうと、プレッシャーは薄くて……楽しみです。やっぱり初演の時に、僕も見に行きたかったとか、出演してあの快感を味わいたかったっていうのがあるので、楽しみで仕方ないですね。舞台のライブならではの、参加したからこそ楽しめるって部分があるので、今回は演者としてお客さんを巻き込みながら楽しんでいくっていう感じです。お客さんの、日々の疲れだったり、鬱憤だったりを晴らせるような舞台にしたいので、僕らもお客さんに寄り添って、すべてのお客さんをしっかり楽しませることを考えて、娯楽という意味での演劇の神髄をとことん突き詰めていって、とにかくお客さんに笑顔で帰って欲しいですね。
――Patchの皆さんは、ものすごく意識が高くて、先日インタビューさせていただいた井上さんや中山さんも、「日々の仕事とかで大変だと思うんですけど、見に来てもらって笑顔で帰って欲しいんですよ」っておっしゃってたんですけど、納谷さんも同じですね。Patchのメンバーは「お客さんを楽しませる」っていうことへのマインドが一緒なんだろうなって思いますね。
納谷:少し話が変わりますけど、こないだPatchのイベントがあったんですよ。僕は久しぶりの劇団Patchでイベントだったんですけど、すごいはっちゃけてしまって、でもほかのメンバーも「あれ?こんなはっちゃけてたかな」って思うぐらいホントに楽しそうにしていたし、結果、すごく沢山集まって頂いたお客さんにも満足していただけたみたいで僕たちメンバーも嬉しかったんです。
そういう経験もあるので、今度の『磯部磯兵衛物語』の再演に対しては、もうひとつ上のレベルを目指すっていう意識で、たぶんみんな気持ちが一つになっていると思います。