人の業 血の因果 ――。

ギリシャ悲劇に比されるべきイプセンの傑作を、
数々の話題作を手掛ける鵜山仁を演出に迎え、描き出す!

企画・製作:シーエイティプロデュース

『幽霊』
作  : ヘンリック・イプセン
訳  : 原千代海(岩波文庫)
演出 : 鵜山仁

出演 : 朝海ひかる 安西慎太郎 吉原光夫 横田美紀/小山力也

演出家プロフィール

鵜山 仁――うやま ひとし
慶應義塾大学文学部フランス文学科卒業。 舞台芸術学院を経て文学座附属演劇研究所に入所(17 期)/1982 年、座員に昇格。
ウィット溢れる演出術で俳優の意外な一面を引き出す手腕と、言葉から着想される膨大なイメージをあ らゆる表現・素材を使って劇空間に現出させる力に定評がある。
2004 年、第 11 回読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞を受賞。その後も休む間も無く傑作を生み出し 続ける。2007 年 6 月~2010 年 8 月、新国立劇場の第四代演劇芸術監督を務める。
主な代表作に『グリークス』(第 25 回紀伊國屋演劇賞団体賞)(文学座)、『コペンハーゲン』(新国立劇場/第 9 回読売演劇大賞優秀演出家賞)『父と暮せば』『円生と志ん生』(以上こまつ座)『ヘ ンリー六世』(新国立劇場)またオペラやミュージカルなどの演出も手懸ける。
本年 2016 年にも、『廃墟』『マンザナ、わが町』で読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞した。

あらすじ

ノルウェー西部、大きなフィヨルドに臨むアルヴィング夫人の屋敷では、翌日に控える孤児院の開院 式の準備のため、マンデルス牧師が立ち寄っていた。愛する一人息子のオスヴァルもパリ生活から数年 振りに帰省し、夫人はたいそう上機嫌である。
しかしそんな中で、夫人がおそれていた〈幽霊〉が屋敷に再び現れる。屋敷を出入りする指物師のエ ングストランや、夫人の小間使いのレギーネの屋敷との関係が徐々に明るみになっていく。夫人が長年 ひた隠しにしてきた因襲の幽霊とは――?

幽霊」作者:ヘンリック・イプセン

(Henrik Johan Ibsen、1828年3月20日-1906年5月23日)
ノルウェーの劇作家、詩人、舞台監督。近代演劇の創始者であり、「近代演劇の父」と称される。シェ イクスピア以後、世界でもっとも盛んに上演されている劇作家とも言われる。
代表作には、『ブラン』『ペール・ギュント』(グリーグが後に劇音楽を作曲する)
『人形の家』『野鴨』『ロスメルスホルム』『ヘッダ・ガーブレル』などがある。

イプセンの劇は同時代の多くの人にスキャンダラスと考えられた。当時は家庭生活や礼儀についてのヴ ィクトリア朝的価値観がヨーロッパで大きく広まっており、それらに対するいかなる挑戦も不道徳的で 非常識とされていたためである。イプセンは生活状況や道徳問題についての批評的な眼や疑問を紹介す るため、主に現代劇に基礎を置いた。ヴィクトリア朝の演劇には、悪の力に立ち向かう高潔な主人公が 期待されており、あらゆる劇は善が幸福をもたらし、不道徳は苦痛のみをもたらすという、道徳的にふ さわしい結末で終わった。イプセンはこの考えと当時の信仰に挑み、観客の持つ幻想を破壊した。

日本の新劇運動はイプセン劇の上演から始まったといえる(参照:市川左團次 (2 代目) 、文芸協 会)。『人形の家』の主人公ノラは当時の「新しい女」として語られた。その作品群は今日でも演劇界 に影響を与え続けている。中国においても、『新青年』第四巻六号(1918 年 6 月)がイプセン特集を組 むなど、五四運動期に熱狂的に紹介され、女性解放運動に大きな影響を与えたほか、話劇の形成にも直 接の影響を与えた。

2007 年にはノルウェー政府により国際イプセン賞が創設された。

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2.5news(編集部)

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