緊急事態宣言の改めての発出により、劇場にお客様が参集して観劇する従来型の演劇にとって、とても厳しい状況にあります。演劇は本来、実際に人が集まることでー舞台上から感じられる演者の息遣いや、観劇に専心するお客様との間に漂う情味があってー初めて完成される芸術です。しかし、場所も時間も固定されている上演スタイルは、どうしても「観劇できるお客様」を制約してしまう側面もありました。
コロナ禍の今だからこそ、届けられる作品もあるはず、という出発点から企画が立ち上がり、本作が誕生しました。
本作は、演劇のオンデマンド配信作品ではなく、映像で演劇を楽しむことを目的に誕生した作品です。演劇の醍醐味のひとつに、舞台上のどこに注目して観劇するか、観客の自由に委ねられていることが挙げられます。VR(ヴァーチャルリアリティ)技術を用いた本作は、360 度自由に観られるので、「自分のカメラワーク」で物語を楽しむことができます。さらに、対応デバイスは、専用のヘッドマウントディスプレイをはじめ、PC・タブレット・スマートフォンなど、幅広く対応可能です。デバイスを整えてこれ以上ない臨場感に没入するもよし、演劇を観たことはないけれど、気軽にお手元のスマートフォンでお試し視聴するもよし、と、入り口も楽しみ方も、従来型の演劇よりずっと幅広いところも特長です。
これまでシーエイティプロデュースは、STAGE GATE VR シアターと銘打って、vol.1『Defiled-ディファイルド-』、vol.2『Equal-イコール-』と、リーディングスタイルの演劇と VR 作品を制作してきました。そしてこの度、これまでの演劇制作・VR 作品制作の蓄積を生かしながら、まったく新しい VR 演劇を誕生させます。劇場での上演を収録するのではなく、「収録のための収録」を劇場で行うことで、360 度の視点をはじめとする桁違いの臨場感を生み出します。
――この物語の出発点、着想は?
この企画はまず、VRで演劇を作ろう、というところから始まりました。
私自身も初めてのVRだったので色んな形のVRを体験しましたが、その中でも360度カメラのVR映像にとても惹かれました。その360度カメラを使って、円形舞台の反対、お客さんが真ん中にいて周りを役者が囲む「ドーナツ型」の舞台を作ろうと思いました。つまり、舞台上の真ん中にカメラを置くことで、真ん中にお客さんの視点がある、という形です。
そのお客さんの存在を役者も感じながら話が進んでいく、また、一方的でアクションは起こせないという制約などを考え、当時ちょうど「終末医療」について勉強していたことも重なり、この物語を作りました。
――映像作品でもありますが、本作を“演劇”たらしめる要素とは?
昨年は、無観客配信やアーカイブの配信など、私自身も色んな演劇の配信を観ましたが、あくまでも舞台演劇を記録した映像であって、これまでいつも実際に客席で体験していた「生」の作品とはやはり違うなとも思いました。
どうやったら映像配信でもより演劇に近い臨場感を与えられるか……と考える中で、「お客さんが好きなところを観ることができる」「色々な人たちが一堂に集まって、個人個人の心の中でドラマを楽しむ」というのが演劇の魅力だと思いましたが、それに近いことを、360度カメラを体験した時に感じました。それがこの【VR演劇】の、もっとも演劇らしい部分のひとつかなと思います。
――完成した作品を観ていかがでしたか?
「終末医療」という重たいテーマであり、ズシリとも来るのですが、広田(淳一)くんの脚本によって軽やかな人間ドラマに昇華されていて、良い意味で他人事のようにも感じられ、その距離感がVRにとても合っていたと思います。
終末医療というテーマについては、広田くんと何度もやり取りしながら作り上げました。日本では終末期の患者さんなどが、自分で死、すなわち生き方を選べない状況もある……という難しい現状があり、それに対して問題提起というか、自分が将来そうなった時にどうするんだろう、とも考えていますが。それを「当事者の話にしたい」という思いが広田くんと私の中にありました。
――今後【VR演劇】でやってみたいことは?
たくさんあります。お客さんが能動的に動くことでアクションやドラマが変わっていったり、例えばVRグローブを使ったりなど、もっとインタラクティブ(双方向)なものが作れたら、より演劇として面白くなるなと思っています。
「VR演劇元年」が2020年に始まったと感じています。演劇の豊かな発展につながっていくと思いますし、いちアーティストとしてとても面白い表現だと感じています。これをどんどんブラッシュアップさせ、ここから新しいものが生まれていくのだと思います。ぜひ、怖がらずに試していただけたら嬉しいです。
【INTRODUCTION】
新型コロナウィルス感染症は、人生の重大な局面―この世にいられる時間が残りわずかという、極めて貴重な瞬間―であっても容赦はしません。最期の別れであっても、大事な人、親族でさえ、対面で会うことが叶わずに、身を裂かれる思いをしている人が大勢います。
もしも、自分の大事な友人が、親族が、最愛の人が、倒れて生死の境をさ迷う状態になったら…。
そのとき人は、何を想い、何を選択するのか。奇しくもこのコロナ禍は、「言霊信仰」のある日本では目を背けがちで、殊更話題に上りにくい、終末医療の問題にも人々の意識を向かせることになりました。誰もがいつかは終焉を迎える以上、避けては通れない大事な問題。100 人いれば 100 通りの状況と考えと感情があり、何より自分に関わることとして考えることが大事な、終末医療の問題。
エンターテイメントとして、ときにコメディタッチに描かれている本作は、物語に引き込まれるうちに、構えることなくすぅっと「人生の最期」について思いを巡らすことのできる作品です。
【360度自由な視点の VR 演劇】
最新テクノロジーの VR(ヴァーチャルリアリティ)技術を活用し、舞台上を 360 度ぐるりと見渡せる自由な視界。自在なズームイン・アウトはもちろん、劇場上演の演劇では味わえない、舞台上で主人公の視点で物語が楽しめます。物語の間、ずーっと一人の人物にフォーカスするも良し、天井を見上げて主人公の気持ちに寄りそうも良し!何度も、幾通りも楽しめる作品です。
★ヘッドマウントディスプレイ(VR グラス・VR ゴーグル)だけでなく、スマートフォン、タブレット、各種ブラウザでご視聴いただけます。
★VR ゴーグル対応機種=Pico G2、G2Pro、G2 4K/Oculus Go/Windows Mixed Reality
動画配信サービス「Blinky Live」
https://blinky.jp/
・あらかじめ、視聴可能環境の確認を行った上、チケットをご購入ください。
・お客様がご利用になる再生機器によっては、再生中にコマ落ち、音飛び、ノイズ等が発生する場合がございます。バックグラウンドで稼働しているアプリの停止や、安定した通信環境でのご利用をお試しください。
・配信映像の画面録画-撮影-録音及びインターネットサイト-SNS 等への無断転載、共有などは一切禁止させていていただきます。
・スマートフォンで視聴される場合には電話回線接続の通信量にご注意ください。Wi-Fi 環境での視聴をお勧めいたします。
配信チケット販売: ~3 月 31 日(水)23:59 まで ※期間中何回でも購入可。
閲覧可能期間: ~4 月 7 日(日)23:59 まで
閲覧期限: 7 日間
配信チケット価格: 3,500 円(税込)
【チケット販売窓口】
◆Blinky 販売期間:~3 月 31 日(水)23:59
購入先:https://blinky.jp/contents/20210112_122256.html
視聴期間:購入から 7 日間
◆ぴあ 販売期間:~3 月 31 日(水)22:00
購入先:https://w.pia.jp/t/madashindenai/
視聴期間:シリアルコード登録から 7 日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
◆楽天チケット 販売期間:~3 月 31 日(水)22:00
購入先:http://r-t.jp/bmsn
視聴期間:シリアルコード登録から 7 日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
◆チケットペイ 販売期間:~3 月 31 日(水)22:00
購入先:https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=31632
視聴期間:シリアルコード登録から 7 日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
◆イープラス 販売期間:~3 月 31 日(水)22:00
購入先:https://eplus.jp/stagegatevrtheater/
視聴期間:シリアルコード登録から 7 日間
シリアルコード登録:https://serial.blinky.jp/cat/top.html
【あらすじ・作品概要】
僕は病室にいた。
父と、僕の友人が何やら話をしている。が、体がぴくりとも動かない。一体僕に何が起こった?
医師らしき声も聞こえる。「現状、一命を取り留めていることがすでに大きな幸運なんです」
……なるほど。そういうことなのか。
デザイナーとしての会社務めを半年前に辞め、油絵に打ち込んで夢だった画家への道を歩み始めた矢先だった。脳卒中で倒れ、自分の意志で動かせるのは眼球と瞼だけ。「やってられるか、バカ野郎!」とたった一言伝えるのに 5 分以上かかる。
そして病室には、
飄々と振る舞い軽口も叩く父、慎一郎。
兄貴分の幼馴染で、親身になって回復を願っている碧。
離婚の話し合いが進み、新たな生活に踏み出し始めていた妻、朱音。
そして、担当医である青山。
「良く死ぬことも含めての良く生きること」
直人と、直人を取り巻く人々それぞれに、胸に去来する想いがあり…。
【原案・演出】ウォーリー木下
【脚本】広田淳一
【音楽】吉田能
【出演】
白井直人役:内海啓貴 白井慎一郎役:斉藤直樹 児玉碧役:加藤良輔
青山樹里役:輝有子 白井朱音役:渋谷飛鳥 白井直人(幼少期)役:瀧本弦音 児玉碧(幼少期)役:木原悠翔
美術:石原 敬 照明:島田美希 音響:けんのき敦 衣裳:ゴウダアツコ ヘアメイク:鎌田直樹 演出助手:相原雪月花 舞台監督:清水浩志 撮影・技術協力:アルファコード/水野拓宏、齋藤浩太郎、岡田将典、中岡正博、韮澤貴翔、野村 譲誉、三村信貴、平野巧二郎、與古田信也、橋本百恵、島田淳平、大塚剛司、高坂茂樹、野沢勇人 演出部:櫻井健太郎、馬渕早希 照明:クリエイティブ・アート・スィンク/折登谷早希、伊藤安佑音響:オフィス新音/立石智史 衣裳:上野沙織 ヘアメイク:杉山えみ、岩田知世 大道具:株式会社俳優座劇場/井戸元洋 小道具:高津装飾美術株式会社/西村大志 運搬:クリエイティブ・アート・スィンク/浅野 猛 舞台製作:クリエイティブ・アート・スィンク/加賀谷吉之輔 医療監修協力:帝京大学医学部整形外科学講座 塚田 圭輔 先生、帝京大学医学部附属病院 脳神経外科 中里一郎 先生 宣伝:ディップス・プラネット 宣伝美術:ycoment/菅原麻衣子 Web デザイン:メテオデザイン 宣伝・舞台写真:岡 千里 制作:山本涼子、平林和子
プロデューサー:江口剛史
企画・製作:シーエイティプロデュース
【公式サイト】https://stagegate-vr.jp/