―
―まず素朴な質問から行きますけど、『人狼』と『宇宙兄弟』のコラボは、どういう経緯で実現したのでしょうか。話せば長くなると思いますが。
佐渡島:僕が、宮崎の延岡で『人狼TLPT』の人たちがやってる……
桜庭:『エンジン01文化戦略会議』って言う、共通の友人の堀江貴文さんがやっている企画があって。
佐渡島:そこでうまい人たちがやっている人狼を見たんですよ。仲間の人狼を見ることはあっても……仲間の人狼だから自分は死んじゃって外から見てるんだけど(笑)普通に出し物として見て、「ああ、これは面白いな」っていうふうに思って、それですぐに劇を見に行きました。堀江さんがずっと「人狼の劇がすごい」って言っていたのが、おんなじ劇を複数回見れるっていうことのすごさなんですね。映画とか本とかは、すごく好きでも2回とか3回なんですよ。でもたぶん人狼の劇って、8回見ても8回楽しめる可能性がある。
――私も4回ぐらい拝見しました。普通のと新撰組バージョン、それからサイコパスバージョン、それでもう一回オーソドックスなのと。
佐渡島:そういう意味での、人狼でのジャンルが代わって見られるっていうのもあると思うんですが、それってけっこう当たり前で、リアル脱出ゲームの違うバージョンを楽しむみたいな感じですよね。リアル脱出ゲームって1回脱出して、もう1回楽しむことってないじゃないですか。たぶん僕が思った人狼劇のすごさって、たとえばサイコパスであれば、サイコパスを何回も見てもおもしろいことなんです。死ぬ順番によって言う言葉が違ったりするとオープンになる世界観が違うだろうと。全体の流れとしては一緒でも、そのオープンになるところが違うっていうのは、すごい面白い見え方だなと思いました。実際、全部の回に行く人は居なくても、2回3回見に来る人は出てくるだろうなと思うんですよ。それってすごい仕掛けで、今までは、タカラヅカにしても2.5次元にしてもそういう人がいるのはすごいマニアなファンだからだったんだけど、劇側にその仕掛けがあるのはすごいと思ってます。
桜庭:昼の回と夜の回で、違う話になりますもんね。
佐渡島:それで、この劇と『宇宙兄弟』をコラボさせてもらうことによって『宇宙兄弟』を何度も楽しむって事が起きるだろうなって思ったんです。それに、物語がしっかりしていると、繰り返し読んでいるうちに気付く物語っていうのがあって、『宇宙兄弟』の人狼劇は、繰り返し見ることができて、作者の小山さんの考えていることの深さみたいなのを気付いてもらいやすい劇だなって思ったんですよ。さらに宇宙での閉鎖環境のところとかっていうのが、すごく人狼と合ってるだろうなって思いました。
2025年2月をもって、建て替…