7月の初演『満月篇』から二ヶ月で改演『月食(つきはみ)篇』の幕が上がった。
中学生ながら代々のエクソシスト家当主の志萬 安吾(與座 亘)が、九浄 三郎(澤田
征士郎)の在籍する学校に転入してくる。二人の出会い、志萬が狩るべきモノノケたちと、そして謎の薬「ZONE-00」の存在を知って、その謎を追うという大筋は初演と同じだが、大きな違いが2つある。
敵役が月彦(堀田優希)から、黒薔薇 朧児(富永 勇也)に変わったことと、主人公志萬と九浄の関係値がさらに深くなったことだ。
前回は千両(田中 晃平)と月彦という憎しみが勝る愛憎が、今回は黒薔薇 憐児(森下 竣平)・黒薔薇 朧児この双子の兄弟の、愛ゆえの愛憎が焦点となっている。「悪」というイメージを煮詰めたような朧児はその心のうちに燃えさかる愛情を抱え、そのままの勢いで弟の憐児へと降り注ぐ。初演と改演の男たちの闘いの中心にいるのは、舞台上に姿を見せない「姫」。原作でも人気の高い「姫」たちを敢えて舞台上に出さないことで、彼女たちをめぐる男たちの闘いがより烈しく、より純粋さが浮き彫りになる。
そして、より中学生らしいエピソードが増えた志萬と九浄は、夏休みの宿題をめぐるたわいない言葉の応酬の中に、九浄のストレートな一言が志萬にエクソシストとしての覚悟を決めさせる。
そのまっすぐさは、志萬に“ゆるぎない強さと勇気”を与え、二人の対立関係が際立つシーンとなった。
『満月篇』から『月食篇』へ、根源的な音楽も大きく変わった。
『満月篇』ではキャラクターソングという趣だった楽曲が、今回はキャラクターの心情を歌い上げるシーンに変化し、オープニング曲「逢魔が刻にまみえし者ども」は和と洋の旋律が混ざった、まさに『ZONE-00』らしいゴージャスで荘厳な曲で、全キャラクターが揃ってのステージングは必見。改演という言葉の意味が、始まってすぐに納得できる重厚さをみせつけた。
黒薔薇 朧児「薔薇の牢獄」、千両と憐児の「おれたちゃKnights」など、ゴシックやバラード、ロックな曲調など様々な楽曲が続く中、最高にアッパーな「居酒屋弁天出張版」が登場する。タイトルからわかるように、原作ファンならわかるあの場所での「居酒屋弁天」が開く。美脚で漢前で艶やかな弁天(荒一陽)を筆頭に、千両たちが歌い踊るシーンは病みつきになること必須。現時点でDVDなどパッケージ化の情報はないので、ぜひ劇場で楽しんで感じて魅入って欲しい。
シリアスなシーンにも笑いが挟み込まれる、緩急のついた原作のエッセンスを巧みに舞台に昇華させた『トワイライト・ミュージカル ZONE-00 月食』は、9/23(月・祝)まで、新宿御苑シアターサンモールにて上演。
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