吉田鋼太郎が演出・出演し、 石原さとみが主演する舞台「アジアの女」の最終舞台稽古が、 5日夜に行われました。
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https://horipro-stage.jp/stage/asia2019/
劇作・演出家の長塚圭史が2006年に書き下ろしご自身の演出で上演されて話題となった本作。 今回演出を手掛けるのは、 俳優としての活躍に加え、 故蜷川幸雄の後任として彩の国シェイクスピア・シリーズの芸術監督を担う吉田鋼太郎。
これまで俳優として長塚圭史の作品に数多く出演してきた吉田が、 満を持して盟友の戯曲に演出家として挑み、 演出と兼ねて出演もしています。
石原さとみの舞台出演は1年半ぶり。 (前回は2018年2月-3月「密やかな結晶」)
大災害の起きた東京で、 壊滅した家に住み続ける兄妹と、 兄妹の生活に介入してくる人間たちを描いた物語。 2019年現在の日本を予見したような鋭い視点を内包し、 今を生きる私たちの胸に刺さる、 普遍的なテーマを扱っています。
登場人物は、 かつて心の病を患っていた女性・麻希子(石原さとみ)、 麻希子を見守りながら共に暮らす元編集者の兄・晃郎(山内圭哉)、 麻希子に想いを寄せる警官・村田(矢本悠馬)、 麻希子を外の世界に連れ出す女性・鳥居(水口早香)、 そして兄妹に変化を与えることになる作家の一ノ瀬(吉田鋼太郎)の5人。
石原さとみはテレビドラマの溌溂とした役のイメージとは違い、 純粋さと狂気のはざまで生きている、 これまでにない役柄に挑戦。 微妙な精神のバランスの中、 あることをきっかけに変化していく様を、 繊細かつ力強い感情表現で演じています。
吉田鋼太郎は俳優としても重要な役どころを演じており、 兄妹の静かな生活をかき乱す強烈なパワーと、 その実、 闇を抱え苦しんでいるという多面的な人間像を見せます。
深刻な状況の中で、 それとは関係なく人間的な弱さや狡さをさらけ出しながら生きる人間たち。 2006年の初演時とは大きく情勢が変わる「アジア」という概念。 愚かでも生きていくことで見えるかもしれない光。 答えのない物語に、 観劇後、 観客それぞれが異なる感想を持ち誰かと意見を交わしたくなるような、 深く考えさせられる作品となっています。
本日6日夜、 渋谷区のBunkamuraシアターコクーンで開幕します。
(撮影:宮川舞子)