「すごいやつになりたい」と思っていた松田さんが演劇に出会って“漠然とした何か”の答えを見つけた、と。
はい。演劇は僕に「思い描いていた夢の世界は作れること」「物語の主人公になれること」を教えてくれたんです。最強の主人公、めくるめく物語、誰も行ったことのない世界……。主人公になりたい、世界を変えたい。そう思っていた僕に。
ハリーポッターのヘドウィグが僕のロッカーに手紙をくれているかもしれない、朝起きて背伸びをした勢いでカメハメ波が出るかもしれない。何なら「自分の物語はいつ始まるんだ!」と真面目に考えていたような少年が、舞台『URASUJI3』を観劇して「これだ!」と。そこからはお芝居に一直線です。
2011年に事務所に所属し、翌年にはミュージカル『薄桜鬼』斎藤一篇で初主演。現在ではさまざまな物語の主人公として生きています。
いざお芝居の世界に入ってみると、もっともっと奥深いものでした。舞台や映像作品、バラエティ番組に出演させていただいて、お芝居だけでなく、人前に立つことについて考えて、いろんなものを感じて……。今ではいろんなことが好きになりましたが、そのなかでも“物語の主人公になりたい”気持ちは大切にしています。
例えば『東京喰種』を読んで「金木になりたい!」と思っていたら、本当になれるので(※2017年上演舞台『東京喰種〜或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録〜』にて金木研役を演じる)。「この物語に入りたい」「頑張れば入れるから頑張ろう」と。
役者を続けていくモチベーションにも繋がっているのかもしれないですね。それでは最後に、2019年再スタートを切った松田さんが今後どのような役者になりたいか、教えてください。
「求められる役者になりたい」です。これは極論かもしれませんが、役者は求められないと表現できる機会がない。しっかりと経験を積めば技術は身につくかもしれないけれど、立ち姿や声など全部を使うのが仕事なので、それも含めて求められる人になりたいな、と思います。
「目標は達成できるまで言わない」主義なので秘密ですが、僕にはある夢があって。それを叶えるためにもお仕事を、お芝居を続けていかなければ、と。まだまだ道のりは険しいですが、遠のいてはないと思うので、松田凌という俳優が求められ続けるようにこれからも頑張ります。
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