舞台にしつらえてある”高低”で殺陣、アクションをダイナミックに立体的に見せる。舞台上にいくつか”お立ち台”があり、状況に応じてマンパワーで動かし、武将の立場や置かれている状況をビジュアル的に提示。あくまでも”人力”にこだわった演出、映像は一切使わない、出演者の”パワー”だけが頼りだ。しかし、人間の力だからこそ見えることがある。どんな局面になっても常にベストを尽くし、自分の信じ、未来を夢見る。その未来がたとえ明るいものでなかったとしても信念を曲げない。だからこその”もののふ”、出演者は座長の植田圭輔始め、大熱演、今回は声だけの出演になる真田幸村役の安西慎太郎の台詞も力がこもっており、ストーリーや状況をわかりやすくする。ベテラン俳優の合田雅史演じる黒田勘兵衛は不気味な存在感で場面を引き締める。
全体としては歌舞伎の荒事のようなテイストもあり、キメ台詞も多く散りばめられ、歌舞伎の見得に当たる決めポーズも多く、派手な衣装も相まって、かっこ良く、それでいて物悲しいストーリー、日本人の琴線に触れるような感触が美しい。今後人気舞台シリーズとなっていくことを期待したい。