ありがとうございます。それでは横井さん自身について聞かせてください。芸能界入りのきっかけは何だったのでしょうか。
横井:スカウトです。実は、高校卒業後に鹿児島を出て愛知県で2年間サラリーマンをしていたんですよ。転機は、19歳の12月。高校の先輩から勧められて好きになったビジュアル系バンドが東京ドーム公演を行うことが決まって、夜行バスで愛知から東京へ行ったんです。そこで、原宿を歩いていたらスカウトされて、20メートルくらい先でまた別の人からもスカウトされて(笑)。もしかしたら芸能界に向いているのかもしれない、と。
数分ごとにスカウトされたんですね、すごい……!
横井:そこで、たとえば10年後、会社で役職に就いたり家庭が出来たりしたときに「10年前にスカウトされたなあ。芸能活動をすればよかった」という形で当時の自分を振り返りたくないと思ったんですよ。
未来の自分が後悔しない道を選んだ、ということですか。
横井:はい。あとは、親友の後押しも大きいですね。その場ですぐ親友に電話をしたら「何を悩んでるの?」と背中を押されるどころか蹴られて(笑)、年明けに会社を辞めて芸能界に入ることを決めました。
会社では尊敬できる先輩に囲まれていたし、辞めたかったわけではないので、有給休暇を一切使わずに3月末日まで働いて、4月1日に上京したんです。会社の同期が車に荷物を乗せて愛知県から東京まで運んでくれて、嬉しかったなあ。
上京後に芸能活動をはじめて、お芝居を好きになったきっかけはあるんでしょうか。
横井:はじめて舞台に立ったときですね。当時上京したてだったので、知り合いはもちろんファンの方もいない。キャパ80人がガラガラで……。でも、そんな状況で舞台がはじまって、自分にスポットライトが当たったときに心のなかで雷が落ちたんです。「ああ、このために生きてきたんだろうな」と感じた、というか。その感覚が忘れられず、今も舞台に立っています。
最近では『KING OF PRISM -Over the Sunshine!-』『からくりサーカス』など原作のある舞台に出演されていますが、役作りで工夫していることはありますか?
横井:原作のアニメやドラマCDには、「声」や喋り方の「ニュアンス」がありますよね。その「声」や「ニュアンス」を絶対に忘れないことです。
僕は、原作に命を吹き込んだ声優さんや制作陣、ファンの方たちが作ってくれたおかげで舞台に立てている。なので、モノマネをするわけではないですが、忘れないことを大切にしています。築いてくれた道をこれからにつなげていけるよう、真摯に取り組みたいです。