――Instagramのストーリーで、ファンの方からの質問や相談に応えていますよね。大原さんの“向き合う姿勢”が素敵だと思ったのですが、もともとどんな学生時代を過ごされていたんですか?
「うーん……今でいう中二病でした(笑)。とくに高校生のころは『友達を作ると人間強度が落ちる』と思っていたんですよ。孤高で、強いものでいたいというか……。だいぶ偏った考え方をしていましたね。ですが、高校を卒業して社会に出てから周りと向き合いはじめて『周りに人がいたほうが強い』ことに気づかされて、価値観が変わりました」
――高校生のころからひとり暮らしをしていたそうですが……。
「そうなんです。もともと自立願望が強かったのですが、両親が転勤して地方へ引っ越したことをきっかけに始めました。アルバイトを掛け持ちしながら生活費を稼いで、学校に通って……。その頃の経験が、芝居をするときの引き出しを増やしてくれましたね。
たとえば同じアルバイトでも、カラオケ店と寿司屋だと来店するお客様の層が変わる。そうなると、コミュニケーションの取り方や対応も変わりますよね。働くことで、さまざまな表現の仕方があると学べました」
――本や映画にもよく触れていますよね。これも大原さんの引き出しになっていると思うのですが、なかでもお気に入りの本を教えてください。
「村上春樹さんの『海辺のカフカ』です。じつは、役者になる前に蜷川幸雄さん演出『海辺のカフカ』のオーディションを受けて、蜷川さんにお会いするところまで進めたことがあって」
――ええ! すごいですね。
「オーディションを受けるにあたって原作を初めて読んだのですが、正直なところ、意味がわからない部分が多かったんです。ですが、大人になって改めて読むと、感じていたことが文章化されていたり、好きな表現があったりして。いまでは何度も読み返す、大好きな一冊です」