このたび劇団四季では、本年2016年12月11日(日)より、四季劇場[秋](東京・浜松町)にて、海外新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』の上演を決定いたしました。
『ノートルダムの鐘』は世界的文豪ヴィクトル・ユーゴーの代表作で、これまで幾度の映画化、舞台化を経ている「Notre-Dame de Paris(ノートルダム・ド・パリ)」に発想を得た作品です。楽曲はアカデミー賞にノミネートされたディズニー劇場版長編アニメーション(1996年)に基き、作曲アラン・メンケン(『アラジン』『美女と野獣』)と作詞スティーヴン・シュワルツ(『ウィキッド』)が手掛け、脚本をピーター・パーネル(『On a Clear Day You Can See Forever』)、演出をスコット・シュワルツ(『Jane Eyre』)が担当しています。ディズニー・シアトリカル・プロダクションズが製作し、2014年に米国カリフォルニア州サンディエゴのラ・ホイヤ劇場で、翌15年には同ニュージャージー州ペーパーミル劇場で上演が行われました。
15世紀末のパリを舞台に、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住むカジモド、その彼を密かに世話する大聖堂聖職者フロロー、同警備隊長フィーバス、そして3人が愛してしまうジプシーの娘エスメラルダが綾なす愛の物語―。この演出版では、ユーゴーの原作のアプローチを重要視し、人間誰しもが抱える明と暗の様相を繊細に描いています。
またこうした作品を力強く支える要素が、メンケン/シュワルツによる抒情的な楽曲と、演出スコット・シュワルツによるシアトリカルでシンボリックな表現形式です。音楽を、作品の柱の一つに据える狙いから、中世の典礼劇や宗教礼拝よろしくクワイヤ(聖歌隊)を舞台上に置いた点や、世界観を象徴的にまとめた装置と俳優の身体を駆使した所作や歌唱によって、物語を進行させていく点は、特筆すべきものでしょう。
従来のディズニーミュージカルから受ける印象を“ファンタジック”“幸福感”とするならば、『ノートルダムの鐘』におけるそれは“ドラマティック”“シリアス性”といえます。人生の悲哀、儚さや脆さなど、登場人物たちが背負わなくてはならなかった宿命を描き、その先にある一縷の希望を見つめることで、嘘偽りのない立体的な人間ドラマを成立させているのです。
実際に、批評家からは「心に強く訴え、熱烈に感情を揺さぶる。素晴らしいパフォーマンスに促され、観客は喝采する」(バラエティ誌)、「強力で魅力的。愛と報復の物語に新鮮な深みを得る。圧倒的な喜び」(サンディエゴ・ユニオン・トリビューン)など好意的な評価を得ており、新たな大人の観客層の獲得に成功しています。
ディズニーのもう一つの顔を垣間見ることができる“大人のための演劇作品”―劇団四季の新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』にどうぞご期待ください。