それから本読みに入った。演出家から何度かアドバイスが出て、繰り返し同じ場面を読む。だんだん、台詞に力がこもる。最後に試しに役を取り替えての本読み、北村が弟の雪男を宮崎が燐をやってみたが、これもなかなかであった。
いよいよアクションシーンの稽古に。アニメでおなじみの曲をかけて雰囲気を出す。まず、燐の立ち回りから始まった。西田が刀を抜いて、説明しながら、スローモーションで動いてみせる。北村はまばたきせずに凝視する。それから動きを合わせていく。アンサンブル陣とのコンビネーションをひとつひとつ確認していく。その時に「バサッ、そしてバサッ」と擬音を入れながらであるが、この方がタイミングを合わせやすいようで、アンサンブル陣からも次第に声が出るようになり、「エイ!」「ヤー!」「ワー!」これだけでも臨場感が出る。まだ見ぬ舞台『青の祓魔師(エクソシスト)』の様子がなんとなくイメージ出来るように。北村のシーンがだいたい終わったところで、次は雪男の場面に。2丁拳銃での戦い、華麗なガンさばきが見どころになるはず。ここでも西田が動きを説明するが、西田の持つ拳銃が、カラフルな水鉄砲なので、それを持つ西田がどことなくキュートに見える。最初はやはりスローモーションでやるが、口で「右からバコーン、左からバコーン」等と擬音を出す。それを宮崎が見て、今度は演出家と動きをシンクロさせながら、身体に動きを入れていく。だんだんアンサンブル陣も気持ちがノってきたのか、かなり派手に”撃ち殺される”シーンもあり、少しづつ迫力が増してくる。その間、北村は部屋の端で動きの”復習”をしている。時折、雪男のシーンをチラチラ見つつ、動きを身体に叩き込んでいる。刀は長さがあるので、タイミングを外すと怪我に繋がる。初日まで間があるとは言え、こういった動きをきっちり覚えるのは基本となる。
少々のインターミッションをはさみ、次は燐と雪男の2人のアクションシーン。再び、スローモーションで動き、そのフォーメーションを覚えていく、という作業。先の2つのシーンと違って兄弟で戦う場面、演出家は「ここで目を合わせる」「頷き合う」等のタイミングを指示する。何度か共演しているだけあって、そこはパッと出来るところは流石、本番の息の合ったところは必見場面となりそうだ。