上演30カ国、151都市以上、入場者数は1億4千万人以上という世界的なミュージカル『オペラ座の怪人』が
来年、2017年3月、神奈川芸術劇場にての公演が決定した。劇団四季による公演はブロードウェイ初演と同じく1988年のこと、イギリス、アメリカに次ぐ世界3番目の上演国となっている。日本での公演回数は6645回(2016年5月23日現在)『ライオンキング』『キャッツ』に次いで3位の公演回数となっている。
『オペラ座の怪人』言うまでもなく、アンドリュー・ロイド=ウェバーの傑作、ミュージカルの常識を覆した最高傑作と評されている。数々の名曲、台詞を極力減らし、ほとんど全てを歌でつないだオペラ形式で、登場人物たちの感情や気持ちの縺れ、絡みを見事に表現しており、初演から30年近く経とうとしているのに全く色褪せない作品である。
そして5月23日、横浜でその会見が執り行われた。登壇したのは神奈川県知事の黒岩祐治、そして劇団四季代表取締役の吉田智誉樹。まず黒岩知事から挨拶があった。「KAAT芸術劇場にふさわしいものを提供したいと思いました。横浜で劇団四季の公演は実に5年前の『CATS』以来で、3年で89万人を動員しました」と語った。劇団四季の本拠地は横浜市のあざみ野、横浜での公演は、いわば”地元公演”と言えよう。劇団四季の吉田社長は「今回は5ヶ月程の公演になります。みなとみらいの『CATS』以来の横浜での公演になります。模索し続けて、KAAT神奈川芸術劇場での公演が実現いたしました。四季にとっては新しい挑戦です。(横浜の)企業や経済の発展に協力したい、皆様のお力をお借りして上演いたします」と語った。単なる”横浜公演”ではなく、地元との協力体制を整えての公演となる。また、今回登壇が叶わなかった林文子横浜市長からのメッセージも発表された。その中で「文化、芸術は明日への活力を見いだせる、横浜の魅力を大きくしてくれる」という言葉があった。文化こそが、街の発展につながる、歴史的に見ても、いち早く新しい文化を取り入れた横浜らしい”コンセプト”と言えよう。記者からの質問の中に「どちらからアプローチしたのでしょうか?」というものがあったが、吉田の方から「相思相愛」という言葉が出た。どっちから、というものではなく、双方が「横浜で、神奈川で公演が出来たらいいな」という想いから、ということである。劇団四季と神奈川県、この『オペラ座の怪人』が共同で行う最初の作品、「今後はいろんな形で連携したい」と黒岩知事、それに対して吉田社長は「横浜に拠点を移して30年以上、街の温かさを感じます」と語った。黒岩知事から「本当は四季の作品全部を横浜でやって欲しい(笑)」の冗談も飛び出し、それに対して吉田社長は「横浜だけにかたよっても(笑)」と返し、なかなか息のあったやり取り、こういった試みは、他の制作会社や劇団にとってもよいモデルケースとなるであろう。
公演に関する詳細は随時発表となるが、観劇前の観光も楽しみな『オペラ座の怪人』横浜公演である。
[公演データ]
2017年3月
KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
初回販売: 2016年11月予定
公式サイト: https://www.shiki.jp/applause/operaza/
【舞台写真提供/劇団四季】
撮影/掘勝志古
撮影/荒井健
取材・文・会見スナップ写真撮影/高浩美