ブロードウェイミュージカル『シカゴ』(『Chicago』)、禁酒法時代のシカゴを舞台にした作品であるが、初演は1975年、1977年までに936回上演したそう。振付はボブ・フォッシー、1979年にウエストエンドに進出して、600回上演、1996年にブロードウェイで再演されたが、これが異例のヒット、2014年12月7日にはブロードウェイ公演7500回公演を達成した。ブロードウェイ史上海外作品も合わせると『オペラ座の怪人』に続き、第2位のロングラン公演となる。映画版の『シカゴ』(2002年、日本公開は翌年)はロブ・マーシャル監督、レネー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギア、ジョン・C・ライリー、クイーン・ラティファ主演で製作され、こちらもヒットした。
今回の宝塚OGバージョンは2014年に宝塚歌劇団100周年を記念して上演されたが、これが大ヒット、”世界一エレガントな『シカゴ』”と評され、この評判がブロードウェイまで届き、今回のリンカーン・センター・フェスティバルでの公演に繋がったのである。しかも女性だけのカンパニー、宝塚OGと一口に言っても主要キャストは元トップスターの面々、実力は言う迄もない。
この会見にはリンカーン・センターのアソシエイト・ディレクターも駆け付けた。「生で観る事を楽しみにしています」とスピーチを行った。蜷川幸雄や歌舞伎の中村勘三郎等、リンカーン・センターで公演を行った日本人クリエイターはいるが、なんと言っても今回は作品が『シカゴ』、バリバリのブロードウェイミュージカルである。それを宝塚歌劇団の卒業生が演じる、もちろん全員女性、というカンパニー。これは、ある意味、快挙と言えるであろう。
会見では登壇者が抱負を述べた。”座長”の峰さ理は「まさか再演出来るとは思っていませんでした。ニューヨークでは、どういう反響を頂けるのか、どのように受け止めて頂けるか楽しみです……ワクワク、ドキドキ、怖さもありますが」とコメントしたが、それは出演者のみならず、同席した記者、そして特別にこの場に来ているオーディエンスの方々も同じ想いであろう。
そして、ニューヨーク公演だけであるが、なんと”タカラヅカアンコール”なるショーを上演するとのことである。せっかくの豪華OG出演者、そして宝塚らしいショーをブロードウェイの観客に披露するという、なかなか心憎い企画である。これを手掛けるのは宝塚歌劇団のショーの構成を手掛けるトップ・クリエイター・三木章雄、スピーディーで華やかなステージングには定評がある。三木は「せっかくOGが、トップスターが集まってるのでショーが出来ないかと」とコメント。このショーでNYの観客を魅了して欲しいものである。
ブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚OGバージョン、まずはニューヨークに行く前に神奈川公演、帰国してからは東京。大阪と、まさにワールドツアー、この歴史的公演、ミュージカルファンなら必見の舞台になるであろう。
[出演]
ビリー・フリン:峰さを理、麻路さき、姿月あさと
ヴェルマ・ケリー:和央ようか、湖月わたる、水夏希
ロキシー・ハート:朝海ひかる、大和悠河
ママ・モートン:初風諄、杜けあき
他
[公演データ]
ブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚OGバージョン
2016年7月9日〜7月14日
【神奈川】 KAAT神奈川芸術劇場
2016年7月20日〜7月24日
【ニューヨーク】デビット・H・コーク・シアター
2016年8月10日〜8月21日
【東京】東京国際フォーラム ホールC
2016年8月25日〜8月31日
【大阪】梅田芸術劇場メインホール
取材・文・撮影/高浩美