大人気作品、舞台『弱虫ペダル』の新作公演、舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~箱根学園王者復格(ザ・キングダム)~のゲネプロが3月1日に行われた。
舞台版第12作目となる今回描かれるのは、手嶋純太と泉田塔一郎がそれぞれ総北高校、箱根学園の主将になって迎えるインターハイの2日目。昨年総北に敗れ、その屈辱を果たすべく王者復活を狙う箱根学園と、昨年見事優勝し、1番のゼッケンを獲得した主人公・小野田坂道をはじめとした総北高校、能力が未知数の新メンバーを迎えさらに力を増した京都伏見がぶつかり合い熱い戦いを繰り広げる。
会場に入ると、まず天井に吊られた3台の自転車と自転車のチェーリングが組み込まれた大型のセットが。主人公である小野田の大好きなアニメ「ラブ☆ヒメ」の主題歌が流れると、いよいよ舞台が始まる。
今回の大きな見どころのひとつとなるのが、箱根学園の主将である泉田と、レース開始直前でメンバー入りが発表された京都伏見の能力未知数の1年生選手・岸神小鞠によるスプリンター対決。昨年のインターハイ1日目に自分が総北に負けたことが昨年の箱根学園の大きな敗因と考えていた泉田が、1年間ずっと抱え続けてきた痛みと苦しみを背負い、ゼッケン獲得を目指す。“筋肉フェチ”という異色のキャラクターである小鞠も脅威の走りを魅せ泉田を追い込んでいく。
一方、1日目に箱根学園に敗れた総北高校は、2日目序盤からペースが落ちた1年生の鏑木一差が仲間から遅れてしまうという困難に見舞われていた。あとから気づいた手嶋が悩んだ末にインターハイを残りの5人で走りきると決断するが、同じく3年の青八木一が「少し用事を思い出した」と後方の鏑木を迎えに行ってしまう。また、先頭集団では今泉も葛藤していた。“一瞬の判断で勝負が決まる”というロードレースの世界で下した自分の判断に自信が持てず、どんどん悪くなっていく状況に自分の選択が間違っていたのだと自分を責め始めてしまう…。
ハンドルだけを手に走るという斬新な技法と役者の熱量、“パズルライドシステム”を駆使することで見事に自転車の滑走感とまるでその場にいるような臨場感を表現した同作。演出・脚本の西田シャトナー氏ならではの遊び心満載のコミカルなシーンも入り、見ごたえたっぷりの内容となっている。