「自分たちとゼロ距離のところにある話」
山崎樹範(劇団カムカムミニキーナ)、諏訪雅(ヨーロッパ企画)からも
舞台への期待を寄せるコメントが到着!!
作・演出を担当する今井隆文が、「自分たちとゼロ距離のところにある話」と語る、劇団プレステージ企画公演『あいつのチョキ』。本作は2018年2月27日(火)より、東京・千本桜ホールで開幕した。
俳優として10年活動してきて、そこそこテレビや舞台には出ているものの、売れるところまではいけていない藤井竜司(長尾卓也)。藤井の小学校からの友達で、今は引きこもりだと噂になっている鈴木拓真(大村まなる)。ラッパーとして地味に活動を続けている河本雷太(小池惟紀)。公務員として堅実な生活を送っている阪口祐(向野章太郎)。
物語は藤井とその友人という、数々の「現実」に直面した4人の「32歳」たちが、「夢」を追い続けるのか、それともあきらめるのか……。どちらの選択が正しいのかもわからぬまま、葛藤する姿を描き出す、大人の青春群像劇になっている。
この作品が2作目の脚本、4作目の演出となる今井。この作品を構想した経緯について聞くと、俳優として活動していく中で「夢を追いかけていてすごい」と言われることが多く、「それって客観視したらどういうことなんだろう?と俯瞰して書いたらこうなった」、と振り返る。
「最初に台本を読んだときに、エッジの効いた内容をやるんだなという印象があった」と大村が語るように、ギャラ、仕事の理想と現実、マネジメントとの関係など、劇中のエピソードはどれもリアルで「やっていて、心が痛くなる部分がある」という秀光の言葉もうなずける。その他のメンバーも「役に嘘がない」(長尾)、「他人事とは思えない」(小池)と自分自身と重なり合う要素を実感しながら、それぞれの役に挑んでいる。
その中でも「彼の演技次第で、この作品は変わってしまう」と今井が話すように、藤井役の長尾は作品の全体のトーンを決定づける重要なパートを担う。これまで陽性のキャラクターを演じる機会が多かった彼が、藤井の持つ振り幅をしっかりと表現。そして、大村のナイーブな少年性と安定した演技が反映された、鈴木との情感あるラストシーンにも注目だ。2人の演技が、最後の藤井の選択に確かな説得力を与えている。
また、得意のラップを演劇に落とし込みながら河本を演じ切る小池、大人の立場から「大人になりきれない大人」を叱る、マネージャー斎藤と鈴木の父の2役をブレずに演じる秀光。さらに肩に力を入れず、おっとりした阪口を演じる向野の姿には(阪口を演じるにあたっては、進む道が見えなかった20代半ばの頃の感覚が反映されているとか)、「非若手」だからこその経験が生きている。そして藤井の母を演じる今井も、シリアスに傾きすぎそうになる流れに笑いを添えている。
「これは、劇団プレステージの第二幕の幕開けとなる作品になると思っている」と大村が語る通り、リアルな台詞の積み重ねによって紡がれた、この「ゼロ距離」の物語は、今後の劇団プレステージの活動にも、大きな影響を与えるものになるはずだ。
【「あいつのチョキ」 当日券情報】
全公演、当日券を販売いたします。
当日券は会場にて各回開演の40分前に抽選での販売となります。詳細は劇団HPをご覧下さい!
劇団プレステ―ジ 公式HP: http://amuse-gekipre.com/