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【レポート】「朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter」

「私の頭の中には消しゴムがあるの」という切ない台詞で観る人の涙を絞り出した名作、元々は『Pure Soul~君が僕を忘れても~』、2001年に放送されたTVドラマだが、2004年(日本公開は2005年)に韓国映画『私の頭の中の消しゴム』というタイトルでリメイクされ、話題を呼んだ作品だ。若年性アルツハイマー病に侵された若い妻と夫の純愛を描いているが、朗読劇として誕生したのは2010年のこと、舞台俳優、声優等多方面から起用したキャスティング、シンプルでピュアな内容でシリーズ化し、2016年、8回目の公演を迎えた。

朗読劇なので、舞台中央には椅子が2脚、セットはどこかの家のリビングを連想させる。壁に写真、そして付箋(壁に貼れるタイプ)、中央にスクリーン。幕開きはピアノの優しげな旋律、それがだんだんとフォルテッシモになって、物語が始まる。2人の出会いはぎこちなく、しかも第一印象はさして良くない。最初は女性役の台本を男性が、男性役の台本を女性が読む。この逆転が不思議と効果的、序盤で台本を取り替える。

どこにでもいそうな若い男女、薫は年齢的にも仕事が面白くなってきたところで、意気揚々としているが、対する浩介は、仕事には慣れているものの、クライアントとのやり取りにややうんざりしてもいる。親近感のわくキャラクター設定で、この2人の境遇には観客はクスリと笑える。

この朗読は日記を交互に読むというスタイルだが、文体は口語で、それがキャラクターの感情をビビッドに伝える。時折、映像が映し出されるが、キャラクターが置かれた状況や目に映ったものをここで表現している。ビルの工事現場、街の風景、繁華街の路地、季節の移り変わり、静かに物語の背景を観客に見せている。

やがて、2人は恋愛関係になり、結婚、これから新しい人生が始まる、意気揚々と結婚式を挙げるシーンは華やかだ。いかにも、な明るい曲調の音楽、映像は教会の建物、ステンドグラス、そして2人は結婚指輪をお互いの指にはめる。浩介は明るい未来を、将来を想像する。一級建築士の試験にも無事に合格し、仕事もこれから、という浩介、会社での大きなプロジェクトのチームの一員になった薫、そんな2人に思いもかけない試練が訪れる……。

4月28日のマチネは前田公輝×徳井青空のペア、等身大な役作りで、前田公輝は浩介の感情の起伏を全身で表現、台本を持つ手を震わせてみたり、とあくまでも朗読劇であるが、声と細かい演技で健闘。対する徳井青空は、可愛らしいトーンの声で薫の苛立ちや喜びを表現、ラスト近く、アルツハイマー病に侵された後は、記憶がなくなる薫をピュアな存在として表現、ラスト近くの台詞、浩介に向かっての「初めまして」はあまりにも純粋で、それがかえって切なく、浩介の心に突き刺さる。観客はここは涙するところであろう。薫は自分の記憶が完全になくなった時のことを想定し、手紙を残している。それを読み、薫の変貌を目の当たりにしても浩介は言う、「愛し続ける」と。

この作品は現代的な設定ではあるが、描いているものは普遍的だ。どんな状況においても本当の愛は消えたりはしない、たとえ、記憶がなくなったとしても。切なく辛い物語ではあるが、これほどまでにお互いを思いやり、愛し合う関係は美しい。

[出演(男性キャスト 50 音順)] 相葉裕樹×日笠陽子、小林豊×佐野ひなこ、染谷俊之×近野成美、 平間壮一×和音美桜、廣瀬智紀×入来茉里、福山潤×田中美里、 前田公輝×徳井青空、矢崎広×三倉茉奈、竜星涼×真野恵里菜

[公演データ]
「朗読劇 私の頭の中の消しゴム 8th letter」
2016年4月27日~5月8日
会場: 天王洲 銀河劇場

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 同じペアの公演を2回観劇しても、違うペアの公演を観劇しても、2回観劇を頂いた方全員にパネルをプレ ゼントいたします。
 ※公演2回分の半券を劇場ロビープレゼント引換受付にお持ちください。チケットを確認させて頂き、その場で特製パネルをお渡し致します。
 ※同じ公演のチケットが2枚の場合はプレゼント対象にはなりません。
  OK 例)4 月 28 日 13 時の回を1枚、28 日 19 時の回を1枚の計2枚
  NG例)4月28日13時の回を2枚
 ※友人、知人から譲渡された半券もプレゼント対象にはなりません。

http://keshigomu.info/index.html

取材・文/高浩美

2.5news(編集部)

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