【3.0レポート】Cosmos Symphony 『Pukul』-時を刻む愛の鼓動-

Cosmos Symphony 『Pukul』-時を刻む愛の鼓動-

斬新な振付と構成で多くの話題作をクリエイトする謝 珠栄。pukul、“鼓動”をテーマに歌×ダンス×プロジェクションマッピングで壮大かつ普遍的な時間の旅を描いていく。
ACT1はこの宇宙から。モノローグで語られる、宇宙を含めた“天地創造”、創造主により何も無かった空間が“鼓動”を始める。星が生まれ、地球が生まれ、空が生まれ、海が生まれる。現代的な音楽ではなく、アジア各国の民族音楽で綴る。またダンスもインド舞踊やグルジニアンダンス等、いわゆるエスニックダンスを駆使して表現する。プロジェクションマッピングで海や星等が舞台いっぱいに描かれ、それが流れるように、時には万華鏡のように変化、観客は宇宙や自然の誕生に立ち会うことになる。レベルの高いダンスに心揺さぶる歌、そして土や光、空気をも感じる音楽で綴られていく。基本、歌い手とダンサーと役割分担されており、ゲネプロでは歌は岡幸二郎、坂元健児、姿月あさと。岡幸二郎の伸びやかさ、坂元健児のよく通る声、姿月あさとの中性的でありながらも女性らしいたおやかな声、このコンビネーションが絶妙で、聞き惚れる。ダンスは湖月わたる、水夏希ら、“元宝塚チーム”、男性陣はミュージカル『メリー・ポピンズ』でバート役を射止めた大貫勇輔、ダンサーとしてザ・ フォーサイス・カンパニー等で世界的に活躍する島地保武他、謝 珠栄作品には欠かせないイケメンダンサー達。日本でもTOPレベルのキャストで描く宇宙と地球と自然、1時間弱でスピーディーに、しかもしっかりと見せる。途中で湖月わたるが打楽器の演奏に挑戦するが、ここはビューポイント。
ACT2はよく知られたポップス等で命を授かった人々の人生をたどる。誕生から始まり、人生の節目を綴るのだが、特別な人生ではなく、ありふれた生き様、乳母車に乗っている我が子をあやす夫婦、可愛い盛りの子供にメロメロな親、どこにでもいそうな雰囲気で共感が持てる。そして出会いがあれば別れがある。旅立つのだろうか、トランクを持っている女性に肩を叩いたり、ハグする仲間、名残惜しそうに別れる。それから大きな奇声を発しながら、元気よく登場する男たち、どこにでも見られる光景だ。ちょっと“体育会系”なノリ、こちらも楽しそう。そんな情景をダンスや歌で表現する。ACT1で描かれた宇宙のそのほんの一部である地球の、そのまたもっともっと狭い場所で繰り広げられる普通の景色。しかし、その光景は唯一無二の瞬間、そこに命の煌めきがあり、フィナーレのコーラスに連なっていく。衣装も全体としてシンプルでスタイリッシュ、楽しいナンバーばかり。また客席に降りてくる場面もあるので、ここは手拍子で!

【公演データ】
Cosmos Symphony 『Pukul(プクル)』-時を刻む愛の鼓動-
2017年12月9日~16日
日本青年館ホール
2017年12月21日~25日
梅田芸術劇場
構成・演出・振付:謝 珠栄
音楽:玉麻尚一 長谷川雅大

振付:謝 珠栄 KAORIalive ほか

映像演出:NAKED

出演:湖月わたる、水 夏希、蘭乃はな、舞羽美海、坂元健児、大貫勇輔、岡 幸二郎、島地保武、千田真司、神谷直樹、田極 翼、舞城のどか、鶴美舞夕
Percussion 加藤拓哉
スペシャルゲスト 姿月あさと、春野寿美礼、彩吹真央

http://www.umegei.com/pukul/

撮影:花井智子
文:Hiromi Koh

2.5news(編集部)

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