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【3.0レポート】『WORLD〜beyond the destiny』

「破天荒な男たちが日本を変える」、センセーショナルなキャッチコピーの『WORLD』が好評につき再演の運びとなった。
ジェットコースターサスペンスと銘打って、そのたたみかけるような物語の展開、ラストの意外な結末で好評だった。今回は主演に廣瀬智紀を迎え、脚本、キャストを一新しての上演となる。

  

物語の出だしは、新宿・歌舞伎町、ここで爆発事件が起こった。犯人は2人の若者、隠す事無く、自分たちがやったんだと高らかに宣言する。歌舞伎町は魑魅魍魎がうごめく、アジア系マフィア、暴力団、何があっても不思議ではない街だ。

マスコミ、警察が動き出す。記者、カメラマン、スクープをものにするべく走り回る。こんな若造にナメラレてたまるか、とマフィアも動く。この若者2人に近づく若い女、彼女はなんのために爆弾犯とコンタクトを取ったのか、様々な思惑、企みがスピード感を持って疾走する。若い刑事は、この事件に何かを感じ、真っすぐな正義感で先輩刑事と事件を追うが、父親の警視監に事件から外れるように命令される。一方、記者、カメラマンはじわじわと事件の真相に近づく。この爆破事件、実は16年前に起こった奥多摩の殺人事件と不思議な縁で結びつく。爆弾犯は、マフィアは、警察は……大きくうねりながら物語はクライマックスに突入する。

 

廣瀬智紀演じる爆弾犯の主犯・リュウジ、孤児院で育ち、慕っていた施設の先生を16年前の殺人事件で失くし、警察や世間に対して大いなる憎しみを抱くが、この難しい役どころ、廣瀬は渾身の演技で、キャラクターの怒りや弱さ、感情の高ぶりを表現した。リュウジと共に施設で育った共犯者・ケンジ演じる河原田巧也は、ラスト近く、自分の出生の秘密が明らかになる複雑な役どころ、真実を知った瞬間の演技は健闘。

重要な役どころはベテラン勢がしっかり押さえる。右近良之は静かな独特の威圧感でマフィアのボスを、金山一彦は、根は正直で優しい元警察官を丁寧に、下村尊則は、圧倒的な存在感で警視監として登場し、場面を引き締める。

テロ行為は決して許されるものではないが、何かのきっかけで人は負の感情に支配される。そして社会は裏も表もある。わかりきっていることであるが、観客は改めてそういったことに気づかされる。上演時間は2時間ちょっとの1幕もののサスペンス、スリリングな展開、謎解き、ラストのどんでん返し、伏線も効果的、続きの話も気になるエンディングだ。

■囲み取材■

Askプロデュースvol.15 『WORLD ~beyond the destiny~』囲み取材

 

[公演データ]
『WORLD~beyond the destiny』
2016年4月23日〜5月1日
全労済ホール/スペースゼロ
http://www.world2016-ask.com

取材・文/高浩美
撮影:公野研究室 冨田祐太郎

2.5news(編集部)

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