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【レポート】舞台『ACCA13区監察課』

撮影:志田正和

コミックでは作画のタッチも相まって全体として静かに進行していくのだが、舞台はコミックよりエモーショナルな印象、歌やダンスもあり、また天井のモニターも使って物語の世界観を立体的に、有機的に見せていく。基本的には会話劇であるが、時折、歌とダンスが入る。キリキリとした緊迫感ではなく、緩やかに一種の緊張感的なものがジワジワとくる。荒木宏文のジーン・オータスはコミック程の脱力ではなく、舞台らしく肩の力を抜きつつ、職務に忠実なキャラクターを好演。丘山晴己のニーノはクールでありながらも内なるパッションも感じ、ラスト近くで思わぬ危機に直面した時に彼の性根が表れる。蓮城まことは凛々しくも聡明なモーヴは当たり役、期待を裏切らないキャラクター作りで納得の出来映え。
原作同様に後半でジーンの大いなる【秘密】が明かされ、それで彼は陰謀に巻き込まれることになる。様々な思惑が絡み合い、そして最後はどんでん返し、しかし、他の作品のようなドラスティックにドラマチックに、ではなく、ほとんどが会話中心に展開され、進行する。上演時間2時間10分程であるが、原作のエピソードをいくつかはしょりつつ、丁寧なストーリー展開、ラストはまたロッタの声が響く。またジーンのなんということのない日常が続いていく予感がする。

撮影:志田正和

人は「こうありたい」と思っていても出会いや時代によって左右され、翻弄されていく。誰もが【巻き込まれ型】とも言えるが、それでも変わらないものもある。人は成長する、いや成長というよりは気付きかもしれない。ジーン、ニーノ、この物語に登場する人物全てがそうであるかもしれない。天井の複数のモニターは事実を客観的に提示する。それが実にクールな印象、表面的には熱くないし、むしろ突き放した感もある。その空気感が作品にマッチする。落ち着いた大人の観客にはふさわしい演目だ。

撮影:志田正和

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2.5news(編集部)

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