舞台の幕開き、ACCA本部の見学に来た一行、ガイドが説明する、ここで観客は見学者とある意味、同じ目線になる。ACCAのことがここでよくわかる仕組み。それからロッタ(悠木 碧)の声が響く。いつものように兄にお土産をおねだりする、ジーンにとってはいつもの日常の始まりだ。しかし、その“いつもの日常”が少しずつ変化していく。ジーンはタバコをくゆらせる、「もらいタバコのジーン」と言われている。淡々と、そして飄々とした雰囲気、何か特別なことを仕出かすようなキャラクターではなく、むしろ【巻き込まれ型】だ。不正がないかどうか視察に行くのは彼にとっては当たり前のこと。そんな彼を見つめる人物がいた……・。
物語は原作通りに進行する。舞台は円形、舞台下には椅子が置いてあり、ここに役者が座ったりするのだが、それが舞台に緊張感を生み出す。クーデターの噂、100年もの間、平和だった王国、国王は高齢、王子はいることはいるが、人望は今一つ。平和な王国に不安要素がふつふつと湧き出るが、それが大きく噴出する、ということもなく静かに、地下のマグマのように奥底で熱を帯びていく。