全てのキャラクターに見せ場がある。手嶋純太(鯨井康介)と真波山岳(谷水力)の一騎打ち。才能の点では真波の方が一枚も二枚も上手だ。彼と比較すると手嶋には才能がないが、その分、たゆまぬ努力をしている。圧倒的な才能の差をみせつけられる手嶋だが、それでも挑んでいく姿は観る者を熱くする。鯨井康介が汗まみれになって熱演するが、原作を知っていれば結果がどうなるのかわかっているものの、それでも応援したくなるのは舞台の熱量がそれだけ大きいから。対する真波も自分に才能があり、自分は絶対に負けないというゆるぎない自信があるが、手嶋をリスペクトする姿は清々しい。過去のエピソードもいくつかはさみつつレースは進行する。御堂筋翔役の林野健志、長身でインパクトのある役作り、御堂筋翔というキャラクター自体がこの『弱虫ペダル』ではアクセント的な存在、前回と比較するとこなれた感もあり、“御堂筋翔がいる”といった存在感を示す。元気いっぱいの鳴子章吉(百瀬朔)、一見クールに見えて内なる熱い想いを持つ今泉俊輔(和田雅成)等、皆、期待通りのキャラクターだ。