【3.0レポート】三枝成彰 オペラブッファ『狂おしき真夏の一日』

三枝成彰 オペラブッファ
『狂おしき真夏の一日』

2013年の「KAMIKAZE-神風-」以来となるオペラ8作目は、三枝成彰にとって初のオペラ・ブッファ。「フィガロの結婚」が下敷きとなっており、時代設定は現代の日本、場所は鎌倉。もはや冷えきった熟年夫婦を軸にし、そこに曲者たちが絡んでいく、複雑で色っぽい恋愛模様が描かれる。
発表当初から、その制作陣の豪華さが話題になった。台本は大のオペラ好きの林真理子、演出は秋元康。
1幕、海、風の音、物語の舞台は鎌倉、幕が開くとスクリーン、海と地平線と空、そのスクリーンが上がると階段等、シンプルなセットが目に飛び込む。照明で水の揺らめき、舞台の上下に字幕が出るのでわかりやすい。客席通路から水着姿の男性が2人、歌いながら登場し、舞台に上がる。揃いの水着、一目で“特別な関係”であることがわかる。夏、海、太陽……誰でも開放的になる季節だ。舞台上に看護婦と病院の院長が登場する。彼は自分の2人の息子について嘆いている。1人は職なしでもう1人はゲイと歌う。そして自分の家のことを歌い始める、代々、医者だったが、息子たちは継ぐ気もなく、後継者がいないと嘆き節は続く。この看護婦は院長の愛人で、彼女は別れたがっている。金を要求するが、金などない、代わりに愛を、と歌うが、女好きで浮気者、看護婦の方はとうに愛想が尽きている様子だ。もちろん妻は夫の愛人の存在を知っている。

その後、次々と、この物語の登場人物が出てくる。長男にはフランス人の妻がいるし、次男には愛する人(男性)がいる、2人の両親である医者夫婦は、とうに冷えきった関係、1幕では、登場人物の“キャラ”と関係性が提示されるのだが、これから起こる出来事への“助走”だ。

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2.5news(編集部)

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