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【レポート】スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)「ワンピース」

3幕は文字通りのクライマックス、涙シーンが随所に。海軍本部マリンフォードのシーンから始まる。弁慶を彷彿とさせる佇まいの白ひげ、「歌舞伎だ〜!」と思う瞬間だ。スクアードに刺されるところや最期に大勢の敵に刺されるシーン、原作と歌舞伎手法の融合でエンターテインメントとしても見応えのある場面となって感涙必至。
場面、変わって海軍本部・天守閣のシーン、青雉の吹雪攻撃、これが圧巻で紙吹雪が乱れ飛ぶ中をフライングで宙を舞うが紙吹雪がブリザードの如くに激しく、圧巻。自由になったエースとルフィのアクションシーン、エースの方はいわゆる“アクション”でサイドキック、ラウンドハウスキック等の技を平 岳 大が大柄な体格を生かしてダイナミックにキメる。一方の猿之助は完全なる歌舞伎の“立回り”、これが舞台で同時に行っているのだが、違和感もなく、すんなりと観れる。イリュージョンもあり、ここも3幕のハイライトシーン、花道で見栄を切る2人、エースはいわゆる“キャラクターに寄せ込んだ”風貌で、一方のルフィはあくまでも歌舞伎だ。ある意味、全く真逆の姿なのに並んで見得を切っても自然に見えてしまうのは“演劇のマジック”なのだろう。江戸時代と21世紀が融合した瞬間だ。この“歌舞伎ルフィ”見た目ももかっこよく愛嬌があって、「これも、もう全然あり!」と思える。ここでは、初演と大きく異なる演出……なんとマルコが!「逆宙乗り」で登場する。歌舞伎の宙乗りは舞台から、が基本であるが、この「逆宙乗り」は2階の客席から、になる。もうヤンヤの喝采で派手な登場だ。
エースの最期、もう涙なくしては観られない場面、エースは絶命の間際、ルフィに言う「ありがとう」、大きく懐の深い言葉だ。もちろん、原作を知っていれば、ここで何を言うかは先刻承知であるが、それでも胸に迫る台詞だ。
しかし、いつまでも悲しみにくれているわけにはいかない。麦わらの一味に再び会えたルフィ、「海賊王に、俺はなる!」大冒険はまだまだ続く。初演に引き続き、歌舞伎らしい演出、早替り、宙乗り、セリを使う、歌舞伎独特のツケ等の“定番演出”にプロジェクション・マッピングに効果音、現代的な動きやアクション、やれることは何だってやる、これは先代からの精神に四代目の猿之助の感性、長くスーパー歌舞伎に携わってきた脚本・演出の横内謙介の手腕、そして全ての俳優、スタッフの努力と工夫、ルフィたち麦わらの一味と同様に果てしない冒険の連続の上にこの舞台がある。

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2.5news(編集部)

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