初演はチケット完売の大人気ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」が待望の再演を果たす。主演パーシー・ブレイクニー役を演じる石丸幹二さんに昨年の手応えや作品の魅力、再演の見どころ等を語って頂きました。
「『スカーレット・ピンパーネル』は外国側から見た、かつ貴族側からみたフランス革命後のフランスです」
石丸:日本では宝塚歌劇団が上演していた「スカーレット・ピンパーネル」が大人気でしたから、宝塚版がお好きなお客様の期待を裏切らないようにというプレッシャーから始まりました。しかも宝塚版の初演でパーシーをやっていらっしゃった安蘭けいさんが、今回は妻のマルグリット役で出演する……ある意味いろんな角度からお客様が注目してくださる訳ですね。そのプレッシャーを……逆に力に変えるようにしました。実際、稽古は大変だったんです、物語は複雑に絡みあっているし、しかも、早変わりがいっぱいある。カンパニーが一丸となって、とてもいい感じで舞台の初日があきました。
石丸:違う設定でも?ありがとうございます。
石丸:宝塚版も、ブロードウェイで開いたものを宝塚に合わせて小池修一郎さんが潤色・演出なさったんですよね。
石丸:昨年、私たちが演じたのは、ブロードウェイのオリジナル・バージョンです。作曲家のワイルドホーンや演出家が最初に我々におっしゃったのは、「これはもともとコメディとして作りました。今回、その部分をもう少し強調してみたい」ということでした。例えば、他にも色々なバージョンがある作品がありますよね……皆さんがよくご存知の「ベルサイユのばら」には、「マリー・アントワネット編」とか「オスカル編」とか。視点を変えることによって、ひとつの作品なのに違う面白さが出てくる。彼らの「コメディ部分を膨らませよう」という助言に、「あ、宝塚版をなぞる必要はないんだな」と思いました。
石丸:映画もありますしね。いろんな見方があると、面白いですよね。
石丸:そうですね。大きな革命の後に続く社会的な混乱の時代。これを市民側から見るか、貴族側から見るか、外国側から見るかで様相は変わってくる。「スカーレット・ピンパーネル」は、イギリス貴族のパーシーの目を通して見た革命後のフランスを題材にしているんです。彼は、罪のないフランスの貴族達を見殺しにはできないんです。同じような時代を扱っていても「ベルサイユのばら」や「レ・ミゼラブル」とは、全く違う色を放っていることがよくわかりますね。
石丸:多面的と言えば、パーシーは自ら「私は貴族です」と名乗って、フランス貴族を助けているのではなく、【スカーレット・ピンパーネル】という別の姿に身を隠して動いている。しかもスリルを楽しみながらやっているんです。そこは観ていて爽快ですよね。また彼は、グラパンという男にも変装している。こいつはどう見ても胡散臭い(笑)このように色々、目くらましなことをするんですね。これも仕掛けとしては面白い。
石丸:そうですね。
石丸:そうなんです。でも舞台上の登場人物たちがまったく気づかないバカバカしさがね(笑)。つまり観客は優位に立って観れる訳です。