初演以来、ブロードウェイで1000回以上も上演され、トニー賞も獲得したミュージカルが ついに待望の上演! 恋と仕事、給料アップ とストライキ、どうなるパジャマ工場!?すったもんだの人間模様が展開される。
オーバーチュアーは、変化に富んだ楽曲、最初は元気なマーチ風で、そこから様々に変化する。これだけ聴いていてもワクワクする、もう“つかみはOK”な感じだ。それからパジャマ工場の従業員たちと工場のタイムキーパーのハインズ(栗原英雄)が登場する。ハインズの“立ち位置”だが、ちょっと狂言回し的な役割もあり、ここで物語の“解説”が入る。舞台転換はスピーディーで次々とミシンの台が出てきて、忙しそうにパジャマを縫っている。たたみかけるようなアップテンポな曲調にのってパジャマが縫い上がる。しかし、従業員たちは……あまり楽しそうではなく、むしろイライラしている。そう、忙しい割には賃金が安いからだ。なんだか妙に共感出来る心境、他の工場は賃金アップされているのに……みんなの不満は頂点に達していた。そこへ新任の工場長がやってくる。名前はシド・ソローキン(新納慎也)、やる気満々、しかも若くてイケメン、もう、何かが起こる予感たっぷり。労働組合の委員長のプレッツ(上口耕平)、ベイブ・ウィリアムス(北翔海莉)は7セント半の賃上げを工場に要求中だ。雇われ社長のハスラー(佐山陽規)は「賃上げ??とんでもない!」、一触即発な険悪なムード、そんな時に出会ってしまったシドとベイブ、一目で惹かれ合うのだが、障害は“7セント半”、ベイブは自分の使命に燃えるタイプだが、好きになった相手は自分とは相反する立場、“自分のやるべきこと”を優先する責任感と恋愛で揺れる“乙女心”を北翔海莉が潔さと可愛さで表現する。対するシドを演じる新納慎也も颯爽としていてなかなか漢なキャラクター、“ベイブが好きになるのは無理からぬこと”と思わせてくれるイケメンぶりを発揮する。サイドストーリーも充実、ハインズは恋人で社長秘書のグラディス(大塚千弘)が気になって仕方が無いが、そんなハインズを栗原英雄が軽やかに面白可笑しく演じて(細かい仕草がツボ)、観客席からは笑いが起こる。恋人のグラディス演じる大塚千弘、キュートでお色気漂わせてハインズが心配するのも納得。そんな中、阿知波悟美演じるシドの秘書・メイベル、なんだか肝が座っている“お母さん”的な貫禄で存在感を示し、佐山陽規演じるハスラー、ちょっといわくありげな態度、コメディリリーフ的なプレッツ演じる上口耕平のちょい軽な感じはなんだか可愛い。またシドや工場の仲間を見守るチャーリー演じる広瀬友祐も落ち着いた感じで好感が持てる、全体的にバランスのとれたカンパニーだ。