初演以来、ブロードウェイで1000回以上も上演され、トニー賞も獲得したミュージカルが ついに待望の上演! 恋と仕事、給料アップ とストライキ、どうなるパジャマ工場!?すったもんだの人間模様、そんなミュージカル「パジャマゲーム」の翻訳・訳詞を手掛けた高橋知伽江さんに作品の見どころや翻訳・訳詞について語って頂きました。また、演出家のトム・サザーランドさんのコメントも合わせてご紹介!
「私自身は、舞台の台本を書きたい気持ちはあったんですけど、翻訳や訳詞の仕事をやろうとは実は全く思っていなかったんです」
高橋:最初に訳詞をやった作品は1992年の「アスペクツ・オブ・ラブ」でした。その時は全部ではなく、訳詞協力。浅利慶太先生に「訳詞、手伝いなさい」って言われて、「出来ません」って言ったんですけど、そう言って許されるはずはなく(笑)、いきなり!実はそういうことが出来る俳優さんのグループがありまして、その中に突っ込まれたんですよ!それまでは訳詞の「や」の字もわからない(笑)、そこに参加して、何もわからない時にやったのが「アスペクツ・オブ・ラブ」なんですね。翌年の1993年に「クレイジー・フォー・ユー」で、台詞の翻訳を担当して、訳詞は和田誠さんだったんです。和田誠さんは本当にお忙しい方だから、主立った曲を和田さんがおやりになって、ある程度私もお手伝いしました。要するに翻訳も訳詞も、やれと言われてやったのがスタートです(笑)。
高橋:そうなんです。勉強もしていなかったし、知識も持たないまま始めてしまって……もう25年も前ですね。自分でもびっくりしちゃいます(笑)。なんとなく、そういう流れで始まった、始まってしまったっていう感じです。
高橋:「アスペクツ〜」の時は1人でやった訳ではないので、そこがありがたかったですね。役者さんが「この台詞はしゃべりにくいよ」と教えてくれるんです。実際に仕事が自分の鍛錬の場所となりました。私自身は、舞台の台本を書きたい気持ちはあったんですけど、翻訳や訳詞の仕事をやろうとは実は全く思っていなかったんです。とりあえず、仕事としてふられた以上は頑張らないと(笑)、劇団四季の会社員で事務所に所属していたので、事務所の仕事もしつつ、稽古場にも行きつつ、みたいな。
高橋:はい。小説と違って役者さんの肉体を通して言葉に命が吹き込まれる訳なので、それを実際に目の前でみせてくれるんです。「ここでそんな訳したら、俳優さんは嫌がってしまいますよ」とか教えて下さるんです。劇団なので、若い子は育てなくっちゃいけないってみんな思ってくれていました。ですから、つたないものが上がっても「ここは、こうだよ」とか「こうしてみたらどう?」とアドバイスをしてくれるんです。そういう訳で恵まれたスタートだったと思いますね。