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【レポート】ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“進化の夏”

Photo by Shunsuke Watabe

季節は秋だが、物語は夏真っ盛り、夏合宿がメインとなる。学校行事等が描かれるが、今迄の舞台シリーズは試合がメイン、この回は彼らの日常、夏休みと言えば……期末試験、ここで赤点を取ろうものなら合宿に行かれない!日向翔陽(須賀健太)、影山飛雄(影山達也)、いきなりピンチ!ところが、そこに救世主が現れた!新しい女子マネージャーの谷地仁花(斎藤亜美)、彼女のおかげでどうにか合宿に参加出来ることになる。谷地仁花は典型的な“帰宅部”であったが、清水潔子(長尾寧音)の一言でマネージャーになることを決意する。内向的な性格であるが、ここで大事な“一歩”を踏み出すことになる。この合宿、なんと強豪校の音駒高校と梟谷高校と一緒!暑い!熱い!夏休みの幕開きだ。
ラテン調のノリの良い楽曲に合わせての動きはバレーボール、ダンス、その他、マイム的な動きやアクロバット的な難易度の高い技等を駆使した群舞はいつものことながら目を見張る。そして今回は合宿なので、試合のシーンはいわゆる“練習試合”のみだ。
1人、1人にドラマがある。月島 蛍(小坂涼太郎)はチームで一番の長身、影山に敵意を持ち、日向の真っすぐ過ぎる感じが嫌いな様子。しかし、基本的には負けず嫌いで歳の離れた兄・月島明光(山川宗一郎)がいる。この兄とのエピソードが2幕で語られる。兄は中学時代はバレーボール部のエースで弟の憧れの存在であったが、高校に入った兄は、実は……を弟が知ってしまうところはちょっと胸が痛くなる話だ。月島 蛍の幼馴染の山口 忠(三浦海里)、いじめられていたところを月島 蛍に助けられたことがあり、彼は月島に憧れを抱いていた。そんな彼らのエピソードや谷地仁花のマネージャーとしての奮闘する姿等、群像劇として全体は進行する。日向翔陽と影山飛雄、お互いに譲れないこだわりがあるからこそ衝突する。影山飛雄を演じるのは今回初参加の影山達也、ストイックなキャラクターであるが、役に上手くハマった感じで須賀健太演じる日向翔陽とのコンビネーションもいい。続投組と初参加組がいるが、稽古の成果かよくまとまっており、群舞や合宿のちょっとしたやり取りに垣間見えるチームワークの良さは観ていて安心もするし、微笑ましくもある。コミカルで楽しい映像、音楽に合わせて俳優とシルエットのシンクロも楽しい。皆、元気いっぱいで、どのチームも応援したくなる。サブタイトルは“進化の夏”と謳っているが、それはバレーボールのスキルだけでなく、心の成長も意味する。谷地仁花は少々おっちょこちょい、マネージャー業に奮闘するが、少しづつ周囲と打ち解けていくし、合同練習を経て皆、何かが変わる。キャラクター全員に見せ場があり、しかも人数も多いので、演出面ではかなりの苦労もあったと思われるが、今迄と同様にショーアップされ、それでいて芝居部分もしっかり。もちろん、コミックに出てくる名台詞もちゃんと!出てくる。ラスト近くは夏休みらしいシーン、誰でも一度は経験のありそうなひと夏の出来事、さてこの合宿での“進化”の成果は……?それは次回のお楽しみにとっておきたい。最後はあの言葉「ボールを落としてはいけない、持ってもいけない」、そう、みんなで繋ぐものだ。ボールを繋ぐ、心を繋ぐ、気持ちを繋ぐ、「ハイキュー!!」には様々な“繋ぐ”が込められている。

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2.5news(編集部)

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