【3.0レポート】OPERA「セヴィリアの理髪師の結婚」

ストーリーは、「フィガロの結婚」を“現在軸”とし、「セヴィリアの理髪師」の出来事を“過去の出来事(回想)”として挿入する形で進行する。もちろん、「セヴィリアの理髪師」「フィガロの結婚」をそれぞれ観ても面白く、各々きちんと独立したオペラで世界的な名作であるが、こういった形で合わせることによって戯曲そのものの理解を深めることの一助にもなるのと同時に其々のオペラを知らない観客はにそれぞれのオペラに対しての興味も沸いてくる。
悪人は誰もいないが、正直なところ、皆、“しょうもない”人々、良いところもあれば、残念なところもあるし、可愛いところもある。だからそこにドラマがある、喜怒哀楽があるから面白い。そして其々の楽曲も同時に楽しめる。有名な曲が次々と出てくるので、音楽ファン、オペラファンは短い時間で2人の偉大なる作曲家の音楽に触れることが出来る。そしてラスト近く、「フィガロの結婚」と「セヴィリアの理髪師」のシーンがシンクロする。2人の伯爵役が同時に舞台に登場する、という仕掛けだ。また細かいところで笑いを取るのもなかなか、一挙一動で客席からクスクス笑いが起こる。そして2つのオペラ、それぞれ上演時間は約2時間40〜50分ぐらいなので、はしょらないで2つ合わせて上演すると相当長くなるが、それを休憩約20分を入れて上演時間は3時間弱、省略されたシーンがある訳だが、上演時間のことを考えるとコンパクトにまとめた印象。舞台装置らしいものはなく、椅子、テーブル等は出演者が演じながら位置を変えたり、引っ込めたりするので、場面転換もスムーズだ。

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2.5news(編集部)

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