原作を最後まで読んでいるファンならラストはどうなるのか、先刻承知であるが、それでも見入ってしまうのは原作の底力であろう。公生とかをりとの出会い、友人の渡亮太(和田雅成)の男気、澤部椿(河内美里)の切ない想いが交錯する。重層的でピュア、季節の移ろいと共に彼らの心情は変化し、成長する。また公生をライバル視する2人の有望なピアニスト、相座武士(横井翔二郎)や井川絵見(山下永夏)、単なるライバルではなく、心の底では公生を想い、心配もする。公生は彼らから背中を押される形で母の親友である日本を代表する瀬戸紘子(小玉久仁子)に師事し、少しずつ音楽の道に戻っていく。