【3.0レポート】「幽劇」

そしてまず物語を始める前に……設定の説明、まず、普通に生きている人間がいる「この世」、死んだ人がいくところの「あの世」そして、今回の物語のカギとなる場所「霊界」。そう「霊界」は成仏出来なかった霊がいる場所、そうこの物語の言葉を借りれば「大きな忘れ物」をしている霊、である。そして味方良介演じるキャラクターは生前は神主だったとのことだ。この神主は生前、地上げ屋に殺されてしまったという設定、これはいわくありげだ。
この霊界には超個性的な霊が4人いた。一見、クールでスタイリッシュな4人、彼らの過去(生前)が明かされる。クールな見た目と裏腹な過去、熱い心も感じる。このギャップがなんとも言えない。そしておのれの意に反して命を落としたが、成仏出来ないのも頷ける。「この世」に残してきた想いと残してきた人、そんな過去と向き合うことによって見えてくるものがある。「死んでも死んでも死にきれねぇ〜〜〜」と叫ぶ。ちょっと心に刺さる言葉だ。人は死ぬ瞬間に何を想い、何を感じるのだろうか?そんなことを観客に問いかける。
そんな哲学的な問いかけを“エンターテイメント”にして見せる。かなり高度な殺陣とアクションを見せてくれる俳優陣、皆、身体のキレも良く、縦横無尽に動き回る。効果音や照明でそれを縁取る。アンサンブル陣の動きもセンス良く、殺しの凄惨な場面であるはずなのにクールで颯爽としている。そんな彼らの“結末”は……観てのお楽しみだ。

ラストのカーテンコール的な場面、1人1人のキャラクターの“その後”を端的にアナウンスするが、ちょっとお茶目なアナウンスもあり、ここはクスリと笑える瞬間、夏は怪談話とか幽霊話は季節の風物詩でどちらかと言うと「キャー〜怖い〜!!!」という絶叫モノが定番だが、こんなかっこいい幽霊話、夏のひとときには一服の清涼剤だ。

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2.5news(編集部)

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