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【レポート】舞台「黒子のバスケ」 THE ENCOUNTER

舞台「黒子のバスケ」 THE ENCOUNTER

アニメ化もされた藤巻忠俊の大ヒットマンガ『黒子のバスケ』初の舞台化、小野賢章がアニメと同役で出演することで、早くから話題になった。演出・脚本は中屋敷法仁である。

幕開きの音楽はRock、物語は、主人公の黒子テツヤ(小野賢章)と火神大我(安里勇哉) が誠凛高校に入学し、バスケットボール部に入るところから。様々な部活の春の勧誘シーンから始まるが、原作・アニメもここから。いろんな部活の勧誘看板を持った”コロス”が賑やかに、そして火神大我は迷わず、入部する。体格に恵まれた火神大我はアメリカ帰り、黒子テツヤは中学バスケの絶対王者・帝光中学出身だ。ミニゲームで早速才能を見せつける火神に対して黒子の影の薄さ、まるで対照的な2人。黒子はその特徴を生かして見えないパス回しを得意とする帝光中学「キセキの世代」の幻の6人目(シックスマン)であった。

映像等の昨今のハイテク技術を一切使わず、コロスを有効に使い、徹底したアナログ演出、実際のバスケットボールを使用するシーンもあるが、ボールは使わずに”マイム”で表現するところもある。ひとつの表現にこだわらずに、場面毎に合った方法で見せていく。しかも火神大我と帝光中学の「キセキの世代」のメンバーは、何と言っても”天才プレイヤー”、それ以外のメンバーもそうだが、ボールさばきや動きは相当の練習を積んだ成果が伺える。そして試合のシーンだが、ダンスやコンテンポラリーの動き×バスケットボールの動き、これが全体を立体的に見せる。またスローモーションも用いてシーンをクローズアップ、舞台も上下にちょっと緩やかな勾配をつけた”台”をしつらえ、視覚的に奥行きを感じさせる。舞台全体でバスケットの試合をダイナミックに、アーティスティックに見せるフォーメーションもランダムに見えて緻密な動き、これが実に見事で、作品のハイライトシーンになっていた。

登場人物の関係性、新入生の黒子と火神、そして先輩達、黒子と黄瀬涼太(黒羽麻璃央)、緑間真太郎(畠山 遼)、青峰大輝(小沼将太)の関係性もわかりやすく描かれ、原作ファンはもちろん、原作をよく知らなくても、すんなり入っていける。
小野賢章の黒子テツヤ役は当たり役としかいいようのないくらい、火神大我役の安里勇哉は長身で、見た目や体格もキャラクター度満点。火神大我が「キセキの世代」に出会い、その実力を見せつけられたが、そこで折れずに闘志を燃やすシーンは見応えあり、また黒子が火神を諫めるシーンは、今後の2人の絆を暗示、秀逸で印象的であった。
ストーリーはほんの序盤、単行本で1巻〜6巻に当たる部分、原作を紐解きたくなるような舞台版、物語はまだまだ続いているが、アニメの楽曲も使用しているので、アニメの名シーンも脳内で蘇る。この続きも劇場で、といきたいものだ。

[出演]
【誠凛高校】
小野賢章(黒子テツヤ 役)/安里勇哉(火神大我 役)/牧田哲也(日向順平 役)/
秋元龍太朗(伊月 俊 役)/阿部快征(小金井慎二 役)/松本享恭(水戸部凛之助 役) /鍛治本大樹(土田聡史 役)/田野アサミ(相田リコ 役)
【海常高校】
黒羽麻璃央(黄瀬涼太 役)/松村龍之介(笠松幸男 役)/和合真一(森山由孝 役)/
平野宏周(早川充洋 役)
【秀徳高校】
畠山 遼(緑間真太郎 役)/山田ジェームス武(高尾和成 役)/Spi(大坪泰介 役)/
竹ノ内大輔(宮地清志 役)
【桐皇学園高校】
小沼将太(青峰大輝 役)/林 明寛(今吉翔一 役)/松藤和成(若松孝輔 役)/ 赤楚衛二(桜井 良 役)/杉ありさ(桃井さつき 役)

[公演データ]
舞台「黒子のバスケ」 THE ENCOUNTER
2016年4月8日~4月24日
サンシャイン劇場

2016年8月26日 DVD発売予定
7800円+税

http://www.kurobas-stage.com/1

©藤巻忠俊/集英社・舞台「黒子のバスケ」製作委員会

取材・文/高浩美

2.5news(編集部)

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