【レポート】ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」

撮影:渡部孝弘

日本初演は1954年当時の台本を使っているが、今回もこの初演の台本に基づいている。
開演前から俳優陣が揃いの衣裳を着て手には本を持っている。もちろん「ピーターパン」の本だ。しかも作品タイトルが様々な言語で書かれているし、俳優陣の衣裳も様々な言語で作品タイトルが書かれている。しかも空いてる席にちゃっかり座って、たまたま近くにいたお客さんに向かって「君はウェンディ?」と話しかけたりもするので、ここは素直に応じたい。舞台を縁取るようにたくさんの本、それからライザ役の久保田磨希が客席から登場し、舞台に上がり、指揮棒を振ると……音楽が、なかなか粋な始まり方だ。客席からは子供たちの歓声が……ワクワクさせるオープニング、オーバーチュアだ。
最初の出だしの場所はダーリング家、中央にはダーリング夫妻、2階では子供達が眠っている。ダーリング夫人(入絵加奈子)、家の引き出しにはピーターパンの影がしまってある。窓から男の子の顔が見えたと言い、「きっと(影を)取りにくるわ」とつぶやく。そして夫妻が出かけた後、案の定、ピーターパン(吉柳咲良)がやってくる……。
ストーリーはもうおなじみであるが、この物語は大人の観客にも大きなものを投げかける。有名なシーン、ウェンディ(神田沙也加)ら、子供達が初めて空を飛ぶシーン、ピーターパンが素敵なことを考えたら飛べるというが、なかなか思い浮かばなかったりする。我々大人はどうだろうか?素敵なことは考えられるのだろうかと、ふと立ち止まってしまう瞬間だ。解釈は様々であるが、哲学的な言葉だ。

撮影:渡部孝弘

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2.5news(編集部)

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