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【レポート】舞台「イムリ」

自分にまつわる秘密や古代戦争の秘話を知ってしまったデュルク、彼の母であるピアジュ(緒月遠麻)の愛、彼女の最期は涙せずにいられない。またミューバは一体何者なのか(男性が演じているのがポイント)、こういった複雑な運命の糸が絡まり、次第に大きなうねりとなってデュルクの身に降り掛る。こういった設定は古代ギリシャやローマの悲劇、あるいはシェイクスピアの作品にも通じるものだ。
SFなので、その超人的な技はプロジェクション・マッピング等のハイテクに頼ってみたくもなるが、この作品は終始、ローテク、俳優の動きやアンサンブルのフォーメーション、照明と効果音で表現する。アンサンブルは時折フード付きの白マントを着用しているが、これが視覚的、そして意味合い的にも効果的、時折仮面を被るシーンもあり、不気味さを強調する。
単行本は現在21巻まで刊行されているようだが、連載はまだまだ続いている。デュルクの過酷な運命、しかしそれに対して必死に向き合う姿は清々しくも応援したくなる。骨太なコミック原作、壮大な冒険譚である。

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2.5news(編集部)

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