【3.0レポート】ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」

ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」

時代を超えて愛され続けているブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」、作曲家であるレナード・バーンスタイン生誕100年を記念したワールドツアー来日公演が始まった。この作品、ブロードウェイ初演は1957年、作品誕生から60年、人間でいえば“還暦”、長く上演され続けているのは、それだけ優れた作品であるからに他ならない。映画化は1961年、この映画は多くのファンが観ていることであろう。
日本における初のブロードウェイからの来日公演は1964年、日生劇場開場1周年記念公演として上演された。この水準の高さに当時の関係者は感銘を受け、1968年には宝塚歌劇団が、1974年には劇団四季が上演権を得て上演した。その後、何度も上演されているが、最近では2016年に劇団四季が上演されている。また、シアターオーブでは、こけら落とし公演がブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」、ミュージカル専用劇場を謳い文句とする劇場、そして開場5周年に当たる2017年に再び、という訳である。
そして初日に先がけて、名場面がマスコミ向けに公開された。

「TONIGHT」:「ロミオとジュリエット」のバルコニー・シーンに当たる場面で歌われる、数あるミュージカル・ナンバーでも最もよく知られている曲。
セットは舞台全体に鉄骨が組まれ、裕福ではないNYの片隅を表現する。そしてあのミュージカル・ナンバー、流石の歌唱力、このシーンだけでも心揺さぶられる。セットの鉄骨の中央にマリアとトニーが歌う。文句無しに「いい!」の一言。そして最後は別れを惜しみつつトニーは去っていく。まさに不朽の名シーンだ。

「AMERICA」:シャークスの女性たちが「プエールトーリーコ…」と故郷を懐かしみつつ,アメリカと比較しながら歌うエネルギッシュな曲。
セットの鉄骨が上手と下手に設置され、舞台中央にニューヨークの街並が映像で映し出されているが、ここは時代を感じさせる表現だ。衣裳もちょっぴり舞台向きになっており、視覚的にはショーアップされた感もある。アニータ役始め、女性ダンサー陣の群舞がダイナミック、バーンスタインのコミカルかつ陽気なナンバーで歌い踊る。スカートを翻してジャンプするが、このジャンプの高さも必見。最後の決めポーズもビシッと決まり、最高水準のダンスとはこういうものだというのを見せてくれた。

ロビーには往年のバーンスタインの写真パネルも展示されており、類希な天才作曲家を偲ばせてくれる。バーンスタインが生まれて100年、作品が誕生してから60年、後世に語り継がれる作品の水準とはこういうものなのだというのを感じさせる作品である。

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2.5news(編集部)

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