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【レポート】舞台『東京喰種トーキョーグール』〜或いは、超越的美食学をめぐる瞑想録〜

 コミックの読者なら、その後の展開は先刻承知であるが、ラストの月山との戦いは手に汗握る場面、効果音、照明、映像で原作の世界観を見せる。もちろん、名台詞もあり、ファンなら頷けるところ。ところどころでウタ(村田充)とイトリ(富田麻帆)の場面が挿入され、これもハードなシーンが多い本作の中ではちょっと落ち着いたシーンとなっている。
 「あんていく」、一見普通の喫茶店だが、カネキやトーカ達にとっては安らげる唯一の、そして穏やかな日常が営める場所、ここでニシキも働き始める。喰種と人間、敵対する関係であるが、半喰種のカネキはどっちつかずの存在だ。そのために月山に狙われることになる訳だが、そんな状況でも生き抜くことを諦めることなく、自分の居場所を探し、自分は何者なのかを模索する。設定は非現実的であるが、「自分は何者なのか」「生きる意味とは」「愛とは」等、そういった命題はリアル、古代から考えぬいてきたことだ。もちろん、答えは存在しないが、この作品もそういった哲学を内包している。累計2000万部というのも頷ける。

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2.5news(編集部)

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