「本編」が始まる前にアンサンブルの面々が出てきてわかりやすく説明をするので作品にふれるのが初めての観客も物語に入っていきやすい。霧隠才蔵(中村優一)は伊賀の忍者。「真田十勇士」の中でも人気のある忍者で猿飛佐助と並ぶ忍術使いとして知られているが、この物語ではメインキャラクターとなっている。出雲の巫女・伊佐那海(礒部花凜)と出会う。伊佐那海は襲撃者に全てを焼かれ、信州の真田幸村(伊万里有)を頼ろうとしているところであった……。この出会いがちょっとクスッと笑えるところで伊佐那海は警戒心からなのか、才蔵に対してツンツンしたところを見せる。それから才蔵は様々な強者たちと出会い、“冒険”をすることとなる。この“強者”たちが個性的でひとくせもふたくせもある者ばかり。カタコト口調の照れ屋な猿飛佐助(北川尚弥)に真面目で高所恐怖症の筧十蔵(鷲尾修斗)、戦うことに快楽を感じ、才蔵に淡い恋心を抱く由利鎌之介(櫻井圭登)、南蛮人のくノ一のアナスタシア(護あさな)、冷静な海野六郎(宮城紘大)等が賑やかにストーリーを彩る。映像演出に長けた演出で、この「BRAVE10」の世界をめいっぱい舞台上に出現させる。技を繰り出す際の効果音と映像、照明、この三位一体がこの舞台の醍醐味で、ここは文句なくかっこいい瞬間だ。出演者もアクションに長けているメンバーばかりで、アクション、殺陣のスピード感は目を見張る。ここは舞台「BRAVE10」の真骨頂と言えるであろう。大河ドラマ等ではヒーローの伊達政宗(小坂涼太郎)、ここでは伊佐那海を誘拐したりと、なかなかの策士だ。