それぞれの関係性や性格が会話からあぶり出される。スキニーは時々、ベイビーにつっかかるが、ベイビーはちょっとしたことを理由に彼に暴力を振るう。そしてベイビーはナイフを持ってスキニーを罵る。しかも足にキスをしろと迫る。暴力的、歌ったり踊ったり、ちょっととらえどころのないベイビーではあるが、その訳は2幕で明かされる。オーナーと、この地域を牛耳るギャングは登場しない。あくまでも会話の中だけだが、その影響力はハンパない。場面では出てこないが、裏で行われていたダークな事実、それがスピード感を持って語られる。爽やかなイメージのTAKAHIROがひとくせもふたくせもあるベイビーを好演、ダンスの場面もあるので、ここは必見。木村 了と尾上寛之の息の合った掛け合い、虐められ、絡まれ、のスキニー役の味方良介の芝居、波岡一喜の陰影のある存在感と内に秘めたパッション、出番は少ないが横田龍儀が放つ輝き、この俳優陣のクオリティの高い演技が円形の舞台で重なり合い「MOJO」の世界を構成する。全てはクラブの中で起こる。濃密な空間での会話劇、客席を使う演出もあり、2幕ものの舞台、派手なアクション等はないが、ぐいぐいと引き込まれる。ラストは衝撃的、クラブeXの密な空間で繰り広げられる男たちの危険な香りの物語だ。