【3.0レポート】「MOJO」

開演前のBGMは1950年代に流行ったロックンロール、舞台奥にはジュークボックス、いかにも、なクラブ、そして時間になり、17歳のスター歌手シルバー・ジョニー(横田龍儀)が登場する。リーゼントでキメキメ、颯爽と登場する。そして天井にしつらえたスクリーン、モノクロの映像、映画っぽいクレジットが映し出される。雰囲気はいやがおうにも盛り上がる。1958年のロンドン、クラブに2人の男がいる。クラブの下働きのスウィーツ(木村 了)とポッツ(尾上寛之)、早口でまくしたてるポッツ、この2人のやり取り、下世話な話題とジョニーのことで盛り上がっている。ポッツを演じる尾上寛之の動きが軽妙で、時折笑いを誘う。スウィーツはちょっとしたことでパニックぽくなる。下っ端のスキニー(味方良介)、オーナーの右腕であるミッキー(波岡一喜)の子分的存在だ。ミッキーはちょっと翳りがあるが、なかなかの野心家だ。舞台が暗転し、スキニーはズボンを引き摺り下ろされて、しかも縛られている。一見、どうしようもないヤンキーな男たちだが、どこかやるせない。ベイビー(TAKAHIRO)、ミッキー、皆、ひとくせもふたくせもある連中だ。場末な雰囲気がこの物語を際立たせる。ミッキーが叫ぶ、「俺たちは終わりだ!」「あり得ねえ!」、凍り付き、動転するスウィーツとポッツ、スキニー。オーナーの死、それも無惨な死に方だ。だが、それをミッキーから告げられたオーナーの息子ベイビーは意外な程、冷静であった。ミッキーとベイビーは対立、ミッキーはベイビーを追い出すのであったが……。

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2.5news(編集部)

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