皆、複数の役を演じるが、役が変わるところ(着替え)も舞台上で見せる。盆の回りにはいくつかの椅子が置いてあり、出番がない時はここで見守る。場面転換もスピーディーでわかりやすく、これが全体として“舞台効果”となっており、いわゆる傍観者的なポジションで物語を見守っている。大きな事件も特に起こらず、全ては日常の出来事。いじめも何もかもが、“よくあること”で、何一つ、変わったことはない。オーストラリアでも、日本でも、いや、他の国や地域でもこういったことはある。
最初と最後に同じ歌を歌う。元気いっぱいに皆で歌うが、その内容は深い。愛、自然、様々なニュアンスが含まれている歌、しかし、この子供たちの生活を垣間みる前と後では、たぶん感じ方も変わるであろう。子供が子供を演じるのではなく、大人が子供を演じる意義、ことさらに子供らしさを強調して、テーマをより際立たせる。子供たちの衣裳はほぼ白、まだ、何色にも染まっていないのだが、これから先の経験で、どんな色に染まるのかはわからない。願わくば、輝くような綺麗な色に、と思うが、なかなかそうはいかないのが、この世の中だ。