さて閉店時間、客はもちろん、販売員もいなくなる深夜、これからが楽しいマネキン達の時間だ。新人マネキンが工場からやってくるが、もちろん名前はない。先輩マネキンが彼を「リョウ」と名付ける。戸惑うことの多い新人・リョウに先輩マネキン達はデパート暮らしの楽しさを教える。百貨店、そうなんでも揃う。美味しいグルメにかっこいい服、キラキラした宝石やアクセサリー、歌って踊るマネキンたちは本当に楽しそうだ。そんなマネキンライフを謳歌しようとするリョウ、傷を負ったマネキンを見かける。“ツバメ”と名乗るそのマネキンはどこか哀しげであった。「また会える?」「……」気になるリョウであったが、先輩マネキンはとにかく楽しく、優しくリョウに接する……。そんな折、売り場に新人販売員・森山康一が配属されるが、駅伝ではちょっと知られた選手だったので、売り場には彼のファンが来ることもしばしば。その光景が面白くない上司の巻田は、何かにつけてはケチをつけるが、その新人はどこかツバメに風貌が似ていた……リョウはツバメが人間になったのだと勘違い、さらに窓から見える“外の世界”に興味を持ち、「人間になりたい!」とリョウが叫ぶ。このリョウの純真さが、紳士服売り場のマネキンたちの心にさざ波を起こすのであった……。