ほぼ何もない舞台、中央にはラグビーボールがひとつ。このボールからドラマが生まれる。1人、また1人、この物語のラガーマンが登場する。まず、最初にメイン校の主将の赤山濯也(佐伯大地)、ボールを拾う。無言でスローモーション、ドラマが始まるぞ、という印象だ。
石清水澄明のモノローグ、原作にも描かれているが、試合で御幸篤(石渡真修)に怪我をさせたこと、優しい性格の石清水には辛い“ハプニング”だ。背が低いことで仲間に入れてもらえなかった少年時代を祇園健次が語る。単にコンプレックスと言ってしまえばそれまでかもしれないが、「邪魔だよ、どけ!」と言われて傷つく、普段の言動とは裏腹な、ちょっと繊細な一面もある。