休憩をはさんで第2幕は一転して魔宮の檻が出てくるが、この檻は人間が表現しているのだが、ここはアーティスティック。そこに伝説の勇者が登場し、黒の勇者に戦いを挑むも、魔王の前に力尽きてしまう。黒の勇者、首飾りは白の勇者と同じものをつけており、勘の働く観客はわかってしまうかもしれないが、ここに“運命”の糸を感じる。
一方、白の勇者の一行は魔宮に向かうも、すんなりいくはずもなく、魔王の企みによって離ればなれになってしまう。白の勇者の前に現れたのは黒の勇者、ここで一騎打ち、見どころであるが、白の勇者にとどめを刺せない黒の勇者、このためらい方が次のシーンにつながっていく。
ここで白の勇者は夢を見る。妖精が現れるのだが、この衣裳がとにかく美しく、スカート部分は照明の当たり具合にとって、ニュアンスが変化する、ここは幻想的なシーンだ。白の勇者と黒の勇者の哀しい物語が明かされる。自分の秘密を知った白の勇者は天空の兜を見つけて、仲間とも再会を果たし魔宮へと出発するのであった。
有名な「白鳥の湖」のようなクラシック・バレエに通じる構成、初見でラストもなんとなくわかってしまうのだが、ドキドキする場面もあり、目が離せない。基本的にいわゆる冒険譚であり、戦いの場面をふんだんに取り入れた活劇的な要素もあり、見た目もスタイリッシュ。衣裳やセット、シンプルでありながら抽象的過ぎず、物語の輪郭を際立たせていて、洗練されている。
ゲーム原作の舞台化としてはかなり早く、しかも完成度も高い。日本発のオリジナルバレエ作品として、もっと多くの国や地域で公演される日も近いかもしれない。
<曲リスト> DQ=交響組曲「ドラゴンクエスト」
プロローグ
DQII パストラール~カタストロフ
DQV 序曲のマーチ
第1幕1場 王宮の広場
DQIII 王宮のロンド
DQV 王宮のトランペット
DQIV のどかな熱気球の旅
DQVI 空飛ぶベッド
DQIII 海を越えて〜不吉な前兆 (新曲)
DQIV 王宮のメヌエット
DQ V 愛の旋律
DQI 戦闘 I
DQI 広野を行く[2場への転換曲]
第1幕2場 荒野
DQ エスケープ(新曲)
DQII 戦い~死を賭して
あやかしの笛
DQIV コロシアム
第1幕3場 街
DQIV 街(街でのひとときより)[4場への転換曲]
第1幕4場 酒場
DQIV 楽しいカジノ(街でのひとときより)
DQIV ジプシーダンス(勇者の仲間たちより)
DQIV おてんば姫の行進~武器商人トルネコ(勇者の仲間たちより)
けんか(新曲)
DQV 戦火を交えて
DQIV あやかしの笛~コロシアム (街でのひとときより)
DQIV 馬車のマーチ(勇者の故郷~馬車のマーチより)
2幕1場 黒の森の奥深く
DQV 大魔王
DQ III 鎮魂歌~ほこら
DQIV 栄光への戦い
DQII レクイエム
2幕2場 黒の森
DQV 洞窟に魔物の影が 〜不死身の敵に挑む
DQV 高貴なるレクイエム~聖
2幕3場 天空の世界
DQV 空飛ぶ絨毯
DQIII おおぞらをとぶ
DQIV 呪われし塔
DQIV エレジー
DQIII おおぞらをとぶ
2幕4場 黒の森
From Sky(新曲)
DQIII冒険の旅
2幕5場 魔宮
DQIIIダンジョン
DQIII戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦
DQIV海図を広げて
2幕6場 王宮
DQV 結婚ワルツ
DQIIIそして伝説へ