幕があくと舞台上は、かなり汚いとある部屋。テーブルの上には酒の瓶、散らかり放題、台所もぐしゃぐしゃだ。さしずめ“ゴミ屋敷”のようだ。そこへ“ブチッ”、部屋は真っ暗になり「あ~!!!!」という声、ちょっと時間が経ち、電気が点く。化粧が濃く、タバコをふかして飲んだくれている女、名前はマリー・ホフ、2階には少女、彼女の娘だ。「何しゃべってんのよ、リトル・ヴォイス!!」娘を名前で呼ばない、汚い言葉遣い、この母娘の関係が手にとるようにわかる出だし、娘は引き蘢りで、母親を毛嫌いしているし、そんな娘を疎んじる母。そんな母・マリーはある日、男を連れ込む。名前はレイ・セイ、芸能プロモーターだが、品のない服装に髭、チャラい空気を漂わせ、マリーとベタベタ。娘にとっての唯一の楽しみは父が遺したレコードを聴くこと。そしていつしかレコードの歌を完璧にマスターしていた。1人、2階の自室で歌う声を偶然に聞いたレイ・セイ、すぐにどこかに電話をかける、そして叫ぶ「俺の運命の女神!」と……。