1幕のキーマン・佐久間中尉演じる大海将一郎、かなり健闘、実直な佐久間中尉を勢いよく演じて作品のアクセントに。1幕のみに登場するゴードン役のオラキオはコメディっぽい役作りで成功。結城中佐、演じるは谷口賢志、意志の強いまなざし、足が悪い設定で動きは少ないが、その背中で様々な想いを体現する。三好役の鈴木勝吾始め、D機関のスパイの面々は表情を変えずに黙々と任務をこなす。喜怒哀楽を表に出さないスパイ、芝居力が問われるところだ。2幕はアクションシーンも多く、異国の地で任務をこなすスパイ達、常に死と隣り合わせだが、“生きて帰る”ことを絶対使命とし、敵を欺くことならなんでもする。まばたきするのがもったいないくらいのスピード感あふれるステージング、こういったアクションシーンは演出家・西田大輔の得意とするところだ。
舞台ならではの見せ方もあってわかりやすく、しかもアニメのスタイリッシュなイメージもしっかりと踏まえ、それで原作小説の面白さも伝える。アニメも原作も知らない観客は観劇後には書店で原作本を買い、アニメも視聴したくなること、うけあい。まだまだ面白いストーリーがあるので、シリーズ化する予感。チケットは即完売、千秋楽はライブビューイングも予定されている。