舞台上はいたってシンプル、まずはテンポよく幕末の時代背景をおさらいしてからの“本編”、1859年、試衛館に1人の青年がやってくるところから始まる。石田散薬の行商の傍ら道場破りをする彼は血気盛んで、燃えるような意志を持ち、強くありたいと願う。名前は土方歳三、のちの新撰組副長だ。しかし、ここで近藤勇に敗れ、正式に門人となる。
物語はテンポよく展開、道場の人間関係、そしてどういう人物かをわかりやすく提示する。武士として生きたい、しかし、観客は知っている、武士の世はまもなく終焉を迎えようとしていることを、でも当事者達は当然、知らない。しかし、芹沢鴨は薄々、気づいていた、もうすぐ武士は滅びると。
真っすぐな土方歳三を花村想太が大熱演!この熱演ぶりと土方の強くなりたいという姿勢がリンクする。めっぽう強いが人の良さそうな近藤勇、刀を持てば最強の沖田総司、クールなサディスト、齋藤一、そして後の新撰組筆頭局長となる芹沢鴨、かなりファンキー、個性的な面々がこの幕末を駆け抜ける。語り部役を担うのは、永倉新八だ。