プロジェクション・マッピング等の映像で近未来を“写す”、そして時折はさみこまれる歌、ダイナミックなアクションと殺陣で、作品世界を舞台いっぱいに展開する。怪人二十面相は明智小五郎に言う「hell clown(ヘルクラウン)に気をつけろ」と。彼の目的はどこにあるのか、hell clown(ヘルクラウン)は何者なのか、1幕で張られた伏線、2幕では、全てが怒濤のようにクライマックスへと向かっていく。
少年探偵団のメンバーの絆と友情、辛い過去と訣別したい明智小五郎、ミステリアスな怪人二十面相、全員に見せ場もあり、ストーリーはスピーディーに展開する。怪人二十面相と明智小五郎の関係、単なる敵味方ではない、実はどこか惹かれ合っているのではないか、とも思われる意味深で謎めいた関係性、アンサンブル陣のスキルの高さ、ダンス、アクション、共にダイナミックでレベルの高い動きとフォーメーション、キャストの面々も歌にアクションに見せ所も多く、多少オチがわかっていてもなんだかドキドキする。通路を使用する演出もあり、劇場をめいっぱいに使用する。細貝演じる怪人二十面相はスタイリッシュでミステリアス、お洒落で魅力的。対する明智小五郎演じる鯨井はどこか翳りがあるが、内に秘めた熱いものを感じさせる。そのキャラクターの対比は作品のアクセントとなっている。少年探偵団のメンバーも個性的だが、単なる“キャラ立ち”ではなく、心豊かな少年たちばかりだ。
もちろん、ラストにはhell clown(ヘルクラウン)の正体は明かされるのだが、ここはちょっと涙ポイントで観てのお楽しみ。