東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京、発表当初から話題性抜群、客席が360度回転する劇場はアジア初、要するに観客席は巨大なお盆に乗っており、それ自身が回転する。それを取り囲むステージ、舞台、映像、音楽、照明がいままでにない形で融合する、従来の劇場の常識のさらに上をいくステージアラウンド劇場である。客席に座る、いよいよ開演時間、客席が回転するが、「回転してる」という感じはなく、しかも“舞台転換”はスムーズ。通常の仕様の舞台は転換の間は幕が降りて、その前で芝居が行われ、転換が終了すると幕が上がって違う場面に、というのはよく観る。しかし、この劇場はそんなことは必要ない。次々と映像が変わり、客席が回転し、次の場面が眼前に繰り広げられる。普通の舞台よりダイナミックでより立体的、観客は芝居により没入することが出来る。演者は客席を取り囲む舞台を移動しながら演じることになる。こけら落とし公演は劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season花、派手なアクション、殺陣が見どころ、こういった動きの多い舞台作品のよいところが最大限に生かせる舞台機構ではないだろうか。この『髑髏城の七人』は“花・鳥・風・月”の4シーズンに分け、シーズン毎に脚本・演出が練り直しされるそう。さらに全て異なるキャスト、異なるアプローチで2018年まで上演する。舞台を一周するとどのくらいになるのかはわからないが、大掛かりな仕掛けであることは間違いない。21世紀にふさわしい劇場の幕開きだ。
http://www.tbs.co.jp/stagearound/theater/
【撮影:田中亜紀】