それからトークの後は朗読劇、登場したのは中尾隆聖、関俊彦、比嘉久美子、そしてギターの生演奏で石川ハルミツ。最初は「式の前日」、これは結婚式の前日の話、男性の側から感じた“前日”、女性の側から見た“前日”のスケッチ、原作もそうだが、何気ない男女の気持ちをすくい取ったもので、これを朗読劇では男女交互に朗読させたことによって感じ方や想いの違いを際立たせた構成に。実は女性、男性の姉で結婚を控えている。男性は姉を送り出す弟。両親は事故で他界し、次は「モノクロ兄弟」、こちらも原作者は同じ。10年ぶりに顔を合わせた2人の兄弟でしかも双子。癌を患い、他界した同級生の由紀子の葬儀のためにやってきたのだった。この葬儀で彼女が独身だったことを知る。実は弟は彼女に片想いをしていたが、彼女が好きだったのは兄の方ではないかと思っていた。しみじみとしたトーンの声が、時間は元には戻らないということを観客に感じさせる。しかし、兄は当時、彼女にフラレていた、つまり弟は彼女と両想いだった、というのがわかるが、もう彼女はいない。啞然とする弟だが、もうどうにもならない。この複雑な感情を言葉だけで表現する。生ギターのシンプルな演奏が物語の情景や心の動きを縁取る、どちらも原作者は穂積、ミュージカルにもなった「さよならソルシエ」で知られる作家である。
この後は落語のメンバーも交えてのトークコーナー。そして告知タイム、4月15日に81LIVESALONにて「〜声瞬〜81声優落語会」が行われるとのこと。また4月22日から始まる劇団ヘロヘロQかムパニー全労済ホール/スペースゼロ提携公演第34回公演「犬神家の一族」に中尾隆聖が客演する。
<落語・解説>
「寿限無」:早口言葉あるいは言葉遊びとして知られる古典的な噺。生まれたばかりの子供が元気で長生きできるようにと考えて、とんでもなく長い名前を付けた、というのがだいたいの筋。また縁起のよい名前をいくつか教えてもらい、どれにしようか迷ってしまい、結局全部つけた、という筋のものもある。
「代書」:昭和10年代に副業として代書人の事務所を営んでいた4代目桂米團治が創作した落語で発表と同時に人気作になった。
Zepp×81pro Live Vol.1 「渋谷に“声”の神来たる」
2017年4月1日(土) 19:30〜
渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
落語:「寿限無」江口菜子/「代書屋」岡野友佑
朗読:「式の前日」「モノクロ兄弟」
中尾隆聖/関俊彦/比嘉久美子/石川ハルミツ
81プロデュースHP
http://www.81produce.co.jp/
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